少子高齢化が進む国内流通業界(小売り・卸・メーカー)において、海外進出は不可避の戦略と言えます。すでに大手の食品や日用品メーカー各社はほとんどの企業が海外売上高の拡大を中期戦略の重点目標に置いており、先駆者は売上高、利益の過半を海外で稼いでいます。
小売業にも変化が生まれています。特に大手外食チェーンは近年、海外戦略が業績を下支えするほどまでに成長。今年に入っても初進出国への出店やM&Aなど、積極的な動きが目立ちます。専門店ではファーストリテイリングは海外事業において別格の存在と言えますが、良品計画、エービーシー・マート、ニトリもそれに追随しています。
コンビニではグローバルブランドを目指すセブンイレブンが海外でM&Aやパートナーへの追加出資などにより各エリアにおける「食」のプレゼンスを高めるべく動き出しています。
ドメスティックな産業ゆえ難しいとされる食物販の世界においても、イオンはベトナムを中心に出店攻勢を強め、業界の雄であるヤオコーは現地企業への出資という形での進出を決めました。ドラッグストア各社もアジア戦略が少しずつ回り始めました。
今回の特集は「海外戦略の現在地」ということで、現状に力点を置いています。インタビューはセブンイレブン・インターナショナルの若林健社長、イオンベトナムの古澤康之社長、そして国内・海外両軸の必要性を語っていただいたロイヤルHDの菊地唯夫会長。またフロンティアの戦略として、米国で攻勢をかける大創産業、食品卸の中でも中国・東南アジアに根を張る国分グループ本社、海外売上高比率77%のキッコーマンに各社の戦略を取材しました。小売り・卸・メーカーの海外売上高、セグメント利益をまとめた表も掲載しています。どうぞご一読ください。