アジア店舗が陥った負のスパイラル
去る8月16日、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)は36期連続増収増益の華々しい通期決算を発表。その裏で、見逃せない重要な人事が通達されていた。海外事業を統括し、北米の事業責任者でもある松元和博取締役専務執行役員CMOが常務執行役員に降格。さらにはアジア事業の責任者である町田悟史常務執行役員も上席執行役員に降格となったのだ。この降格人事はとりもなおさず、PPIHの海外の苦境を端的に表している。
海外利益の減少が止まらない。PPIHの2024年6月期業績は、連結売上高が日本小売業で5社目となる2兆円を突破、連結営業利益は前年比3割増の1402億円を叩き出す好決算だった。が、片や海外事業は売上高こそ前年比5%増の3326億円を確保したものの、営業利益は前年から半減の49億円。北米、アジア共に減益に沈んだ。全社営業利益に占める海外の割合も急降下し、21年6月期には14%超だった数値が3%台に。アジアに初めて進出した18年3月期並みの水準にまで落ち込みを見せている。