東都生活協同組合(東都生協)は冷凍、冷蔵、青果の3温度帯の草加要冷セットセンター(埼玉県草加市)を今年5月から稼働している。ロボットなどを導入したセンターでは、要冷品や青果のセット・小分けの業務をより効率的に改善。産直から届いた新鮮な青果を組合員に提供している。今年4月から強化されたドライバーの時間外労働の上限規制等(2024年問題)への対応策として、温度帯が異なるトラックにおける待ち時間短縮の取り組みも進めている。
使い方がシンプルで割安なトラック予約受付システムを導入
東都生協は草加要冷セットセンターの稼働に伴い、日本パレットレンタルの関連企業・TSUNAGUTEが提供するトラック予約受付システム「テレサリザーブ」を5月から導入している。老朽化した従来のセンター移設にあたり、草加要冷セットセンターへの建て替えを行った。移設前の受付は紙による手書きの順番だったことから深夜にトラックの待機が常態化。荷降ろしの順番をめぐってドライバーが仮眠を敷地内でとるなど様々な課題も起きていた。そこで東都生協では、これを機に昨年にトラック予約受付システム導入の検討を開始。様々なシステムを比較しながら、他の生協の物流施設の見学なども実施。中でも日生協の物流を担うシーエックスカーゴで軌道に乗っている「テレサリザーブ」の導入事例が参考になり導入を決定した。
東都生協の平野亨物流部長は、「他社の予約システムはパッケージが最初から決まっていて当社では使わないシステムが付随するので割高となる。その点、テレサリザーブは、これらの機能をオプションとして後から付けられる仕組みで、価格が割安で魅力的でした」と価格面の優位性と使いやすさについて強調した。
続いて、平野部長は、「テレサリザーブはドライバーがセンターのスケジュール欄に予約を入れるだけなので、センター側も余計な作業がなくシンプルで非常に使いやすい」と指摘。実際、TSUNAGUTEの春木屋悠人社長も「多くの取引先様から他社より手軽で、シンプルだという声を多数いただいています」とシステムの使いやすさが導入の決め手の理由の一つと明かす。
産直のスケジュール化を強化し、組合員に新鮮な青果を提供
東都生協では、車両が計画通りに到着することで青果の小分け作業やセット業務のスケジュール化をより進化させた。バース予約の導入によって組合員に鮮度の高い青果の提供を実現したのだ。
平野部長は、「例えば100パック分の青菜を追加で依頼しても、これまで車両が到着予定時刻までに来ないこともありました。現在は時間通りに車両が到着し、その後の小分け作業から出荷までのリードタイムを計算でき、より新鮮な青果を組合員にタイムリーにお届けできる体制を構築しています」と破顔する。
また社会問題となっているトラックの長時間待機の課題については、責任の所在が荷主・ドライバー・センター側の3者間で曖昧だったが、予約した数時間前にトラックがセンターで待つような場合には、ドライバーに原因があると分かるようになった。さらに過去のトラックの予約時間とバースの入庫出庫時間も可視化できるようになり、入出庫に必要以上の時間がかかっている場合は、東都生協がドライバーとコミュニケーションを図るようにしている。例えば、パレット化を促すなど入出庫時間を積極的に削減。過去の入出庫の時間も自動的に記録されていることから、国土交通省が行う「トラックGメン」の問い合わせがあっても対応できる体制も整えている。
草加要冷セットセンターでは、人手不足対応や物流コスト削減のためロボットや太陽光発電システムなどを導入。業務効率を上げる仕組みを取り入れている。多様な人の働きやすさを追求したセンター内には、化粧台や広い綺麗な休憩所も設けている。またパレット化も推し進め、荷主にはパレットで運んでもらいドライバーとセンター側の両方の負担を軽減する取り組みを推進。平野部長は「2024年問題からパレット化は急速に進んでいますが、冷凍食品などは積載効率を上げるためバラの段ボールでの手積みの入庫がまだまだ多い。将来的なドライバー不足なども考え、荷主と共同でレンタルパレットの導入を進めていきたい」と力を込める。
東都生協はテレサリザーブなどのシステムの活用をさらに広げ、より従業員が働きやすく、コスト削減にもつながる業務改善を進めていく構えだ。また春木屋社長も「ご利用ユーザー様へ、日本パレットレンタルとともにパレットによる荷役作業の負荷軽減、トラック予約受付システムによる荷待ち時間の削減、納品伝票電子化による現場作業効率化によって、フィジカルとデジタルの二つのアプローチで物流効率化に貢献していきたい」と意気込みを語った。
(冒頭写真左から東都生協の原田直紀物流部草加要冷セットセンター長、平野亨物流部長)