「羽根つき餃子」10周年のプレミアム品を投入
イートアンドフーズは今年、「大阪王将」の創業55周年、「羽根つき餃子」発売10周年のアニバーサリーイヤーを迎えた。これを記念して、3月に羽根つき餃子のプレミアム品を発売したのに続き、この秋冬に向けては、生活者の変化を捉えた新商品、リニューアル品を続々投入する。この節目を機に、ブランドのファンをより広く深く醸成。冷凍食品市場での存在感を一段高めることを目指していく。
周知の通り、イートアンドフーズの原点は中華専門店の「大阪王将」だ。飲食店として始まった同社が転機を迎えたのは1993年のことだった。「生協様からご要望があり、この年に冷凍餃子の販売を始めました。当初、製造は委託でしたが、ノウハウを積み上げ内製化を推進。2001年からは販路を量販店様にも広げました」と野村壮太執行役員営業副本部長(冒頭写真左)は経緯を語る。
量販店で展開を始めた頃、大阪王将の冷凍餃子のウリは「たれ付」であることだった。そこからさらに新たな価値を消費者に提供すべく、商品設計を追求。「誰でも失敗せずに焼ける本格餃子」「家庭で感動を味わえる餃子」を志向し、誕生したのが今日の「羽根つき」だった。「本格的な羽根つき餃子が、油いらず・水いらずで簡単に焼けるということでご好評をいただいた。さらに18年には『フタいらず』を実現し、利便性を向上。ご支持を高められたと感じています」と山本邦彦商品本部商品企画開発部長(冒頭写真右)は胸を張る。
今や同社の看板商品に育った羽根つき餃子。今年3月には10周年を記念した新商品として「羽根つき円盤餃子PREMIUM」を発売した。円盤型にすることで並べる手間をなくし、調理の負をまた一つ解消。併せて1粒を大きくし、店舗の餃子と同じサイズにした。ダイスカットの肉と厚めの皮を使い、独自の製法でジューシーさをアップ。また通常のたれに加え、店舗で人気の味噌だれも付属し、〝味変〟も楽しめる仕様にした。
大阪王将らしい価値がバイヤーに評価され、円盤餃子は新商品としては過去最高の配荷率を記録。消費者からも、「並べいらず」の利便性や、味付けに対する好意的な声がSNSなどで多く上がっているという。秋冬に向けては、さらなる拡販に向けパッケージを刷新予定だ。使いやすさとプレミアム感をより強く訴求していく。
併せて定番の「羽根つき餃子」もリニューアルする。半年に1回見直しを行っている同商品だが、直近の改良では羽根のパリパリ感をより長持ちさせた。王道とプレミアムの盤石の布陣で、羽根つき餃子10周年の売り込みを下期でさらに強化していく構えだ。
消費者が求めるタイパ・コスパを突き詰める
9月からは羽根つき餃子以外の新商品も一挙投入し、ブランド全体で大阪王将55周年を盛り上げていく。
足元の冷凍食品市場はコロナ禍の外出制限を経て大きく伸長、今なおその勢いを維持している。野村執行役員は、「高品質なメニューが手軽に食べられる『タイパ』『コスパ』の価値が浸透している」と分析。新商品ではこの価値を突き詰め、日々の献立考案や調理の手間を抑える便利なアイテム、1品完結メニューを充実させた。
中でも一押しの新商品が「餃子が主役のスンドゥブ鍋」だ。トレーごとレンジで調理可能な1人用鍋で、好みの野菜や豆腐を加えることで手軽に韓国風のピリ辛鍋を味わえる。20~30代をターゲットに取り込みを図る狙い。
同商品のもう一つのポイントが、羽根つき餃子に並ぶ同社の看板商品「ぷるもち水餃子」をふんだんに盛り込んだ点だ。もちもちの皮に野菜と肉の旨みを閉じ込めた水餃子は、鍋やスープに相性抜群でアレンジ自在。直近の改良で皮の中に鶏油を練り込み、さらにおいしさを上げた。「スンドゥブ鍋の裏テーマはぷるもち水餃子の良さも合わせて知ってもらうこと」(山本部長)にあり、新商品の裏面で水餃子を紹介するなどの誘導も行っていく考えだ。
使い勝手の良い万能アイテムとしては「あったらラクチン中華風肉団子」を新たに投入する。使いきりの便利なサイズで、お弁当の具材はもちろん、鍋料理やスープにも合う。水餃子と組み合わるなどアレンジは多様だ。
米飯類では「ぶっかけ肉ニラあんかけ炒飯」が新登場だ。あんは工場にラインを作り、ノウハウを詰め込んだ手仕込み。今春発売したぶっかけ飯2品とともに、需要の高まる1品完結メニューとして提案を強める。
そのほかの新商品では、「中華豚まん」「パラっと旨い 直火炒め炒飯」がお目見え。中華の基本メニューがパワーアップして登場する。リニューアル品では「羽根つき餃子」「ぷるもち餃子」も含め、15品が出揃う予定だ。
プロモーションも大々的に展開していく。マス広告やデジタル広告だけでなく、若者の取り込みに向けてはSNSなどでの訴求も強める。周年企画としては、春に行ったプレゼントキャンペーンを新たな内容で行う計画だ。
イートアンドフーズは長年培ってきた中華の技法を生かし、ニーズに対応した商品開発を強化。今後も大阪王将ブランドのファンを着実に広げていく構えだ。