夜用専用品の発売でピース単価を拡大

 夜用専用プレミアム商品の販売促進へ――。ユニ・チャームの2024年秋新商品政策において、昼用と夜用の商品の売り場をしっかり分けた提案に加え、生理用品、大人用紙おむつで夜用専用のプレミアム新商品を発表した。

 ここ数年の生理用品市場は右肩上がりに成長している。すでにフェミニンケアカテゴリーでは、生理対象人口が減少している中でナプキン市場が牽引。25年のナプキン市場は「ソフィ はだおもいオーガニック」などのプレミアム商品がスタンダード商品の売り上げ規模を逆転して上回る見込みだ。 

 二つ目の施策では、夜用商品のプレミアム促進による買い上げ点数アップと単価拡大の新提案だ。「夜用プレミアム商品の購入を増やすことが、人口減少が続くフェミニンケア市場のさらなる活性化のポイントになります」(ユニ・チャーム広報部)。

 これまでユニ・チャームの生理用品は、夜用ナプキン「ソフィ 超熟睡ガード」で体とナプキンをフィットさせる提案で長年リニューアルを繰り返してきた。今回は、従来の「フィット性」と「長さ」の提案に加え、新たに「厚み」に着目。極厚クッションがぎゅっと体に密着することでワンランク上のおやすみを実現したのが新商品「ソフィ 超熟睡おやすみプレミアム」(極厚360、極厚400、極厚420)だ。

 おやすみに着目したのは、生理中の睡眠意識の高まりにある。世界でも睡眠時間が最も短いと言われる日本人女性は、モレが不安な生理期は睡眠不満がさらに高まる。また、中でも若年層は、「モレ不安を忘れてぐっすり眠りたい」「モレを気にせず普段通りに過ごしたい」という睡眠への意識が他の世代より高まっている。

10月22日発売の「ソフィ 超熟睡おやすみプレミアム」

極厚クッションの安心感でワンランク上のおやすみを実現

 そこで「超熟睡おやすみプレミアム」では、超熟睡シリーズ最厚※1の極厚クッションを搭載し、からだにぎゅっと密着してスキマを埋める安心感を実現。さらに従来品に比べ吸収スピードを約2倍に高め、経血を素早くキャッチすることで伝いモレの不安も残さない。使用したユーザー調査では、普段品との違いを実感した人は94%に上り、厚い部分が密着してぐっすり眠れたという声が多かった。ユニ・チャームは10月22日に一斉発売して売り場での定番化を図り、夜用市場拡大に貢献する。

 また今秋、ユニ・チャームは生理用品メーカーとして過去から蓄積してきた知見・技術を生かし、吸水ショーツ市場に参入を果たす。繰り返し使用可能な吸水ショーツは、アパレル企業などの参入で認知が拡大し、23年の使用率は17.5%まで高まっている。浸透拡大に伴い、使用意向も拡大。しかし、現在の使用実態として多い日に1枚で過ごしたらモレてしまうことや、長時間の外出の際には不安で1枚で使えないことから、ショーツ1枚の単体使用率は8%にとどまっている。

 そこでユニ・チャームから1枚で多い日も安心して使える同社初の吸水ショーツ「ソフィ 体にフィット吸水ショーツ」が新登場する。表面はサラサラな防水シートと抗菌機能を搭載した安心の吸収面3層構造を採用し、素早く吸収して後ろモレを防ぐことができるのが最大の特徴だ。さらに、体との隙間にフィットする構造によってショ
ーツ全体を引き上げ、広範囲の防止シートとボクサー形状で後ろ、足周りまでモレを防ぎ1日のモレを安心できる。

※1現超熟睡シリーズ吸収体中央部分

ユニ・チャーム初の吸水ショーツ「ソフィ 体にフィット吸水ショーツ」

ランクアップ促進とブランドブロッキング売り場を提案

 生理用品売り場では、「消費者購買実態に合わせたランクアップ促進の売り場提案」を昨年から構築。売り場を昼用・夜用に分けながら、ブランドブロッキングで売り場を括り、ブランド選択肢からより選びやすい棚割りに変更している。

 今秋は三つの販売政策で市場の活性化を図る。夜用ではスタンダードからベスト、プレミアムの新商品「超熟睡おやすみプレミアム」への促進を強化し、ピース単価を拡大。二つ目の施策は、「シンクロフィット」や新商品「体にフィット吸水ショーツ」などのサブカテゴリーの使用促進で市場の底上げを図る。三つ目では、タイプ別一体陳列では、「チャームナップ」のパッケージを刷新し、ピース単価の拡大を狙う。実際にゾーニング変更に加え、プレミアムゴールデンゾーンの棚割りを実施した店舗は、未実施店に比べ4%増で成長率を高めている。ユニ・チャームでは付加価値の高い夜用専用品の購入を促し、ピース単価と買い上げ点数を拡大。夜用プレミアムへのランクアップを図り、一生を通じたライフタイムバリューの最大化を図る方針だ。

介護者の負担軽減と夜間良眠でSDGsの達成に貢献

 ユニ・チャームの大人用紙おむつカテゴリーでは「SDGsの達成に貢献」する取り組みとして本人・介護者がモレ安心で夜間良眠を新提案。夜モレ安心で介護者の負担軽減と双方の夜間良眠に貢献する。現在防水シートや夜間の見守り、昼夜使用する紙おむつを変更するなどモレを防ぐために様々な対処しているが、約4割の人が2日または3日に1回以上夜モレが発生し、依然として夜間モレは防ぎきれていない。高齢者の足周りは、筋力低下によって筋張って細くなるため、通常の紙パンツでは隙間が発生しやすくなっていることが主な要因だ。

 そこでユニ・チャームでは、大人用紙おむつカテゴリーでも同様に昼、夜の使い分け促進していく。24年秋新商品の発売で夜用売り場を創出する。大人用紙おむつは、年間平均客単価が9356円と他の日用品カテゴリーと比べて非常に高い。限られた客層の中でも支出金額が多いことから、既存顧客を囲い込むことが重要なカテゴリーと言える。

 近年の傾向では、大容量化が進み、大容量商品の構成比は56%まで高まっている。またパンツパッドタイプの24年の実績は、19年比で188%まで高まり、そのうち夜用構成比が38%と増えている。「昼用、夜用の使い分けを促進し、それを売り場で隣接させることで買い上げ点数と単価拡大につなげることがウェルネス市場活性化のポイントとなります」(ユニ・チャーム広報部)。

 こうした状況下で大人用紙おむつブランド「ライフリー」では、外出意欲促進、生活自立支援、夜間良眠、離床促進の四つの排泄ケアをコンセプトに、軽度用、中度用、重度用と利用シーンや状況に合わせて幅広く揃えることで、生活価値向上の実現を図る。その中でも過去から課題だったのが夜間の排泄トラブルだ。中度では介護の負担感が増してしまい、軽度では夜間の排泄トラブルで十分に睡眠をとれないことにより、日中の外出意欲が低下し、外出する機会が減ってしまうことから、夜のモレ安心が生活価値向上のカギとなる。

足周りに密着する新開発の吸収体によりモレ安心で良眠を実現へ

 この夜間モレの原因である足周りの隙間を防ぐ吸収体を搭載した大人用紙パンツ「ライフリー 夜用あんしんパンツ」(5回吸収M16枚・L14枚、7回吸収M14枚・L12枚)が新登場する。三つの革新機能で高齢者特有の足周りのモレを防ぐ新提案を行う。世界初※2の革新技術である「ピタッと足周りまで吸収体」ブルーワイドゾーンは、股下の吸収体の幅がリハビリパンツに比べ約2倍まで広がり、足回りに隙間を作らずにその場でしっかり吸収する。さらに、独自のスリット構造と股下フィットギャザーで吸収体が体に密着。足が動いても足周りにフィットし、伝いモレをする前にしっかり吸収する。実際に同社調査によると使用者は現行品に比べ夜間の外モレ率を約7割軽減し、使用後の満足度は約9割と高評価となった。パッケージデザインは一目で夜用と分かる濃紺デザインを採用し「夜用でモレ安心」の価値をしっかり伝達し、10月8日から一斉発売する。

隙間を防ぐ吸収体を使った中度用「ライフリー 夜用あんしんパンツ」

 もう一つは軽度失禁でも夜モレの安心で夜間良眠の実現に力を入れる。軽度失禁では約62%が夜間に昼用パッドを使用しているが、半数が外モレを経験するなどパッドの外モレは解決できていない。ただし、軽度の夜間の外モレの場合は、寝ている間のモレではなく、主に尿意による起き上がり時の横モレと立ち上がり時の前傾姿勢による前モレ、トイレまで間に合わないという三つのモレが原因となる。結果、夜間の外モレによって気分が落ち込み日中の活動意欲が低下し、さらに軽度失禁パッドの代わりとして中度用のパンツ開始の理由となる。

 こうした悪循環につながる夜間モレに対し、安心な夜専用吸収パッド「ライフリー さわやかパッド夜あんしん」(150CC、250CC、350CC)を新提案する。軽度では吸収量を上げても解決できないことから、夜間モレの瞬間にすべて対応した三つの夜間モレの防止技術を採用。夜間特有の姿勢変化に対応して、起き上がり時の横モレを防止するせきとめ立体ギャザーと、立ち上がり時の前傾姿勢によるモレを防止する、前モレ防止ポケットで前傾姿勢モレを搭載。また、吸収部分に貯水空間を作り、貯めてから吸収する構造により、ドッとモレもすばやく吸収して広げない。「さわやかパッド夜あんしん」の夜間モレ発生率は0.9%で夜間モレ発生を抑え、現行品と比べて145%と高い購入意向を獲得している。一目で夜間のモレも安心な価値を伝達するパッケージデザインで11月5日発売し、売り場での訴求を強める。

※2 吸収コアの両側縁と重なる一対の着色領域と、その間の非着色領域を有し、吸収コアは長手方向中央部で防漏ギャザーの幅方向最内端よりも広く、着色領域の着色部より肌面側のシート資材数は非着色領域のそれ以下である構造(主要グローバルブランドにおける大人用パンツおむつ対象 2024年4月ユニ・チャーム調べ)

夜専用吸収パッド「ライフリー さわやかパッド夜あんしん」

昼用、夜用を隣接させる売り場で単価・買い上げ点数アップ

 大人用紙おむつ売り場では、「昼夜使い分け促進」売り場の提案で、夜用市場の創出を図る。本人の軽度、中度、重度ごとに三つに売り場を分け、それぞれ昼用、夜用を隣接させることで買い上げ点数と単価の拡大を提案。軽度では、昼用「さわやかパッド」と夜用専用品「さわやかパッド夜あんしん」を隣接させることで外出意欲を促進。中度でも同様に昼用の「長時間あんしんうす型パンツ」「うす型軽快パンツ」と「夜用あんしんパンツ」を隣接させることで夜間良眠促進と生活自立を支援。外出機会を増やす取り組みを進める。重度では夜間隣接で離床を促進。昼用と夜用を併用して使うことで単価アップと買い上げ点数アップを図る戦略を推し進める。

 ユニ・チャームでは、夜用専用品による夜モレ安心価値を提供することで、介護本人と介護者双方のより良い睡眠で満足度を高め、健康寿命延伸とQOL向上に貢献する。それと同時に夜用商品の新提案によって、ベビー市場、生理用品市場、大人用紙おむつ市場の活性化を加速させていく方針だ。