ドラッグストアショー出展で新たな取引先を開拓

 シリカ水「のむシリカ」を製造・販売するQvou(神戸市)は、ドラッグストア市場の開拓に力を入れる。今年、大手チェーンの600店舗へ導入を果たしたほか、この夏には初めて、「JAPANドラッグストアショー」に出展、新たな取引先の獲得にも挑んだ(冒頭写真)。

 8月30~9月1日の3日間、東京ビッグサイトで開催された同展示会は、台風の影響による悪天候にもかかわらず、昨年より約4万人多い延べ約9万8000人が来場。Qvouのブースにも想定以上の来場者が立ち寄り、来場者全員に実施予定だったサンプリングを急遽、SNSをフォローしてくれた人に限定するほどの盛況ぶりだった。

 Qvouの担当者は、「これまで参加していた食品卸主催の展示会では接点がなかった最終消費者やドラッグストアで働く店舗スタッフの声が聞け、直接商品をアピールすることができた。また、日雑卸など食品以外の卸売業との接点も持てた」と出展の成果に笑顔を見せ、「ここで得た接点を元に、ドラッグストア市場を開拓していきたい」と意気込みを示した。

 ECで圧倒的ナンバーワンの売り上げを誇るQvouが一般小売店流通に参入したのは、2022年。ECでの人気を追い風に食品スーパーなどの取引を次々に実現した結果、今や大手総合スーパー、コンビニなどのナショナルチェーンから高質スーパー、地方の食品スーパーまで、多様な食品小売業に取引が広がっている。そこで、今度はドラッグストア市場の開拓に乗り出したのだ。

 ヘルスケア産業を標榜するドラッグストアにとって「のむシリカ」は有望な商材と言える。シリカは、身体の組織同士をつなぐ役割を果たすミネラルの一つで、近年、健康や美容の観点から注目されている。健康維持には1日40mgのシリカの摂取が必要と言われているが、「のむシリカ」には、これが1L当たり97mg含まれているため、500mLサイズを1日1本飲むだけで十分な量を摂取できる。しかも、マグネシウムやカルシウムなど、シリカ以外のミネラル成分も豊富で、必要な栄養素がバランスよく摂れる点も特長だ。

 また、品質面の信頼性が高い点も訴求ポイントになる。「のむシリカ」は、ISO22000(食品安全マネジメントシステム)の認証やJ-FOODSの認証を取得した生産工場で、オートメーションで生産されているため、異物混入のリスクはゼロに近い。しかも、ボトルはUV殺菌と除菌されたクリーンエアで殺菌、天然水も130度で10秒間加熱殺菌後、無菌充填システムでボトリングしているので、菌が繁殖することはない。

 加えて、PFAS*汚染の心配がない点も強みだ。これまでも年に1回PFAS検査を行ってきたが、地下水のPFAS汚染の報道を受け、この7月からは月1回に検査頻度を高め、その数値も公表している。実際、それを評価し、引き合いを寄せる企業も増えているという。

*PFASとは、有機フッ素化合物のうち、ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物を総称したもので、1万種類以上の物質があるとされており、健康被害のリスクも指摘されている

 このほか、備蓄用の水として活用できる点もウリとなる。「のむシリカ」の賞味期限は製造から約2年間と、一般的なミネラルウォーターに比べると長いため、買い替えの頻度が抑えられる。先般の南海トラフ地震の可能性が発表された際には、「ECの1日当たりの売り上げが通常の3倍くらいまで跳ね上がった」(Qvou担当者)ほどだ。

 Qvouでは、「のむシリカ」の優れた成分に加え、こうした安全性や利便性も訴求することで、ドラッグストアとの取引拡大を図る。

2022年から一般小売業での販売を開始した「のむシリカ」

販促企画や売り場提案で取引先との関係を強化

 ドラッグストア市場の開拓に加え、既存の食品小売市場の活性化にも力を入れる。一般小売市場への参入から2年が経ち、商品の認知度が高まったこともあり、スーパーやコンビニ経由の販売量は拡大している。最近も、新たに関東の有力スーパーが販売を開始したほか、これまで500mLボトル中心だった企業でも2Lボトルの取り扱いを始めるところも出てきた。さらに、これまで商談が成立しなかった企業が導入を決めるケースも生まれている。そのため、今期も食品卸の展示会に積極的に参加し、新たなスーパーとの接点を増やすほか、これまで接点があった企業との取引拡大にも取り組む。今期は人員も増やし営業体制も強化したことで、小売業に対するきめ細やかなフォローを行える環境が整った。店頭での販促企画や売り場づくりの提案など、小売業との連携強化も進める構え。

 これまでは、イベントやCMなどを積極的に展開して認知拡大を図ってきたが、当面は、「サウナの神さま」のメインスポンサーと都内のバス停のサイネージ広告程度に留め、その分、小売市場の開拓に力を入れる。「これまでの2年間、種まきをしてきた。これからはその花を大きく咲かせたい」(Qvou担当者)と意欲を示す。