食品スーパー(SM)向けショーケース事業が昨年で60周年を迎えたパナソニックから、スーパーショーケース「REシリーズ」が登場した。今年2月のスーパーマーケット・トレードショー(SMTS)で初公開され、SM関係者などから関心を集めたREシリーズは6月から受注を開始。〝デザイン、省エネ、大容量、冷凍強化〟の四つの面で進化を遂げ、充実したラインアップで存在感を高めている。

シンプルを極めたデザインに一新清掃性や耐久性が向上

 従来機種「EVシリーズ」から9年ぶりのモデルチェンジとなるREシリーズの一つ目の特長が「デザイン」だ。同社の営業企画担当者は、「SMTSでは当社製品を導入したことがない数社のお客様から『導入を検討したい』とのお声をいただいた」と手応えを得ている。

 まず、本体上部のトップパネルはボリューム感を抑え、陳列品を際立たせるすっきりとしたデザインに変更。トップパネルにあるデジタル温度計はフラット構造にして清掃性を高めた。

 一方、本体下部のハンドレールやバンパーは、素材をアルミからステンレスに変更することで、高級感を持たせつつ、堅牢性を向上。「ショッピングカートで店内を回るお客様が増えたことに対応し、より安心して長く使えるようになった」と営業企画担当者はデザイン刷新の効果を説明する。

 二つ目の特長としてREシリーズは、「省エネ」性能も向上させた。エアカーテンの効率を高めたほか、高効率の冷却器を搭載。庫内温度制御の最適化を図り、冷やしすぎを抑制。また、店舗統合コントローラーをバージョンアップし、冷凍機との連携も強化することにより、店舗全体ではEVシリーズと比較し約15%※1の省エネを実現した。SM業界では、店内の照明を暗くするなど、電気代の高騰に苦心している企業が多いことから、「コスト削減を目的とした省エネのニーズは続く」と見て、引き続き、省エネ性能の引き上げに注力する。

※1HFC冷媒採用スーパーマーケットモデル店舗(2,800㎡)での試算 
EVシリーズと「REシリーズ+RE版エコストアシステムSEC-TEM650C」導入での10年間の電気代比較

 さらに、業界で初めて冷凍リーチインショーケースに搭載した真空断熱ガラス(VIG)省エネ扉は、パナソニックのプラズマディスプレイ事業の技術を応用したもの。扉のガラスは真空層を持つVIGともう1枚のガラスを組み合わせた複層構造となっており、極めて断熱性が高い。そのため、庫外側のガラス面にヒーターを取り付ける必要がなく、デフロスト時のみ庫内側のガラス面のヒーターを動かせばよいのでEVシリーズと比べて約33%※2の省エネを達成した。現在、VIG省エネ扉は冷凍リーチインショーケースのスタンダードな扉のみに搭載しているが、今後はその他の冷凍リーチインショーケースにも広げていく意向だ。

※2 トリプルガラス搭載機種とVIG搭載機種との比較
ショーケース FLD-EV0377LA×4台、冷凍機 OCU-NL1501F 6,300W(蒸発温度-40℃、50Hzの冷凍能力)、ガラス面ヒーター ガラスの曇り防止のため霜取り時のみ通電(霜取り時間1日30分×2回)

冷凍リーチインFLD-RE9377L

庫内容量を拡大し補充回数の削減に寄与

 三つ目の特長としてSMが注力する省力化に対応すべく「大容量化」に対応。上部トップパネルのスリム化に加え、陳列棚もEVシリーズに比べ、11mm薄型化。陳列内容積は、冷気の吹き出し口の形状変更やベースの低床化により、EVシリーズから約9%※3増加した。これにより、ハンドレールの高さ450mmのケース※4では、従来できなかった500mL飲料の最上段への陳列が可能となり、補充回数の削減も見込める。

※3EVシリーズ・CPW-EV085、REシリーズ・CPW-RE9085との比較
※4EVシリーズ・CPW-EV084Y、REシリーズ・CPW-RE9084との比較

 さらに、REシリーズは需要増加が続く冷凍食品に対応すべく「冷凍強化」を図り、冷凍リーチインショーケースをさらに拡充させた。オープンショーケースとの入れ替えを想定し、6尺と8尺のスリム扉タイプを追加。また、最上段の棚を商品ストック用として活用できる、高さ2100mmタイプも発売を予定している。平形タイプの冷凍ショーケースは、ハンドレールの高さを800mmで統一し、使いやすさが向上したほか、側面には高さ310mmのワイドガラスを採用し、陳列商品の視認性も高めている。


冷凍平形(両面)TVQ-RE088KF

 これらを含め、標準機種のラインアップとして、1303機種を用意。SMの精肉・鮮魚、青果、日配・飲料、冷食・アイス、2温度切換、惣菜・米飯と幅広い用途に対応している。今後、きめ細かいニーズに対応できるようにするべく、「1年ほどかけて様々な特注仕様のREショーケースを製造できる体制を構築する」方針だ。

 パナソニック産機システムズは、デザイン、省エネ、大容量、冷凍強化の四つの進化を遂げたREシリーズのラインアップで、SMだけでなく、ドラッグストアなど幅広い業態で魅力ある店舗づくりに貢献する構えだ。