アマゾンは2月4日、生成AI(人工知能)を搭載した次世代音声アシスタント「アレクサ・プラス」を米国内で一般提供開始し、プライム会員には追加料金なしで無制限利用を可能にすると発表した。非会員向けには月額19.99ドル(約3000円)の有料サービスとして提供する一方で、新たに無料の「チャット体験版」も導入し、誰でもアレクサ・ドット・コムで試用できるようにした。

 アレクサ・プラスは約1年前に早期アクセス・プログラムとして開始され、数千万人の利用客が参加してきた。アマゾン・ノヴァとアンソロピックの大規模言語モデルを活用した新しいアーキテクチャにより、従来のアレクサとは比較にならないほど強力で、より賢く、より会話的で、よりパーソナライズされ、幅広いタスクを代行できるようになっている。

3プランで展開、プライム会員は家族全員が無制限利用可能

 アレクサ・プラスには3つの利用オプションが用意されている。

 プライム会員向けアレクサ・プラス(無料、無制限)は、プライム会員が追加費用なしで、アレクサ対応デバイス、アレクサ・ドット・コム、アレクサ・アプリ全体で、家族全員が無制限にアレクサ・プラスの全機能にアクセスできる。アレクサ・プラスは、アマゾン・フォト、プライム・ビデオ、アマゾン・ミュージックなどのプライム特典を最大限に活用する支援も行う。

 新設の無料チャット体験版は、プライム会員でない利用客がアレクサ・ドット・コムとアレクサ・アプリで、テキストベースのチャットインターフェースを通じて迅速な回答、計画立案、調査、新しいトピックの探索ができる。この無料体験版へのアクセスは、使用量に基づいて制限される。

 有料版アレクサ・プラス(月額19.99ドル、無制限)では、利用客がアレクサ対応デバイス、アレクサ・ドット・コム、アレクサ・アプリ全体で、家族全員が無制限にアレクサ・プラスの全機能にアクセスできる。学習、情報収集、整理、複雑なトピックの要約、アマゾン内外での買い物、予約、家族カレンダーの調整、食事計画などさまざまな用途に活用できる。

複雑な会話へ進化、「エージェント機能」も

 アレクサおよびエコー担当副社長のダニエル・ラウシュ氏によれば、早期アクセス期間中、利用客は従来の単純で定型的なリクエストから、はるかに深く複雑な会話へと移行した。音楽ストリーミングが増え、ディスコグラフィー、ジャンル、パーソナライズされたアーティスト推奨について深い会話をしている。食卓での議論を素早い質問で解決し、複雑なトピックを探索し、日々のニュースを議論し、数日間にわたる継続的な会話をアレクサと行っている(アレクサ・プラスは文脈を記憶できるため)。

 利用客はまた、より多くの場所でアレクサ・プラスと交流している。移動中にアレクサ・アプリでチャットし、アレクサ・ドット・コムでより深い調査、計画、コンテンツ生成を行っている。全体として、利用客はアレクサ・プラスと従来の2倍以上の会話をしている。

 利用客はアレクサ・プラスの新しいエージェント機能を活用して、テイクアウトの注文、レストランの検索と予約、配車予約、住宅修理などのサービススケジュール調整といった、幅広い複雑なタスクを完了させている。

 家庭内業務の管理の自動化も新しい方法で進化している。アレクサ・プラスとリング・カメラを組み合わせて自宅周辺の異常を警告させたり、学校のスケジュールをアレクサ・プラスにメール送信して自動的に家族カレンダーに追加させたり、アレクサ・ドット・コムで宿題の支援を受けたり、新しいレシピを見つけて不足している材料を購入し、アレクサに新しい料理の調理を段取り順に案内してもらったりと、活用範囲は広がっている。

プライム会員制度の新たな付加価値

 プライム会員は、「アレクサ、アレクサ・プラスにアップグレードして」と言うか、アレクサ・ドット・コムでアマゾンアカウントにログインするだけで、簡単にアレクサ・プラスの使用を開始できる。非プライム会員も、アレクサ・ドット・コムにアクセスすることで、新しい無料アレクサ・チャット体験をその日から使い始めることができる。

 アマゾンは、アレクサ・プラスとともに、プライムが節約、利便性、エンターテインメントを単一の会員制度にまとめることで最高の価値を提供すると強調している。米国では、プライム配送無料対象の3億点以上の商品(うち数千万点は即日または翌日配達可能)、25ドル以上の注文での日用品と生鮮食品の即日無料配達、プライムデーなどの限定セールとショッピングイベント、プライム・ビデオでの映画とライブスポーツ、アマゾン・ミュージックでの音楽、医療、レストラン配達、燃料費などでの節約が含まれる。

 アマゾンの今回の動きは、小売業界における「AIファースト」時代の到来を象徴している。利用客との接点がウェブサイトやアプリからAIアシスタントへとシフトする中、そのAIを自社エコシステムに統合し、会員制度と結びつけた企業が次世代の競争優位を握る可能性が高い。アレクサ・プラスの成否は、小売業界全体の戦略の方向性を占う試金石となるだろう。