アマゾンは、米国のフルフィルメント(注文処理)および輸送部門の時間給の従業員に対して、報酬と福利厚生を大幅に引き上げることを発表した。従業員の平均総報酬は時給換算で29ドル以上となる見込み。

 アマゾンは2018年に、業界に先駆けて最低賃金を時給15ドルに引き上げた。その後も毎年引き上げを行っており、今回の改定では、最前線で働く時給従業員に対して少なくとも1.50ドルの昇給が適用される。

 この結果、平均基本時給は22ドルを超え、福利厚生を含めた平均総報酬は時給29ドル以上に達する。この昇給により、フルタイムの従業員は年間平均3000ドルの収入増となる。

 アマゾンは米国内で80万人以上の従業員を雇用しており、この賃金引き上げは同社にとって過去最大の22億ドル以上の投資となる。

 また、福利厚生の強化も今回の投資の一環である。雇用初日からの健康保険、歯科保険、401kの会社負担マッチングプログラム、柔軟な勤務時間、前払いの大学授業料を提供している。

 さらに、従業員の意見を反映して福利厚生に様々な改善が行われている。特に、キャリア選択プログラムの一環として提供される言語クラスについては、従来は90日後にしか受講できなかったが、初日から受講可能となった。この他にも、従業員のニーズに基づいた変更が年間を通じて数百件行われている。

 過去5年間で安全性の向上にも取り組んでおり、記録可能なケガは28%、作業損失時間を伴うケガは75%減少している。また、2025年初頭からは、米国の時間給従業員に対してプライム会員特典の無料提供が開始される予定だ。