アマゾンが米国の公的医療保険制度「メディケア」加入者に向けて、60種類の処方箋薬を月額5ドルで無制限に提供するサブスクサービスを開始する。

 メディケア受給者5000万人以上が、デジタル薬局「アマゾン薬局(ファーマシー)」の定期購入節約プログラム「Rxパス」を利用できるようにした。Rxパスはアマゾンのプライム会員限定の特典で、一般的な薬を廉価で購入でき、毎月の迅速な無料配達に加えて24時間365日薬剤師にアクセスが可能なサービスだ。

 Rxパスで入手可能な医薬品を少なくとも1種類服用するメディケア受給者は、年間約70ドルの節約になる。すべてのメディケア受給者がRxパスに対象薬を移行した場合、メディケアの支出は20億ドル近く削減され、顧客の自己負担額も減少する。

 アマゾン薬局では、対象となる医薬品の一部またはすべてに保険を利用するか、保険を利用しないプライムの節約プログラムを利用するかを選択できる。

 節約プログラムはジェネリック医薬品のコストを最大80%オフ、ブランド医薬品のコストを最大40%オフで提供している。また、インスリンやその他の糖尿病治療薬の自動クーポンを提供しており、治療費を下げることができるとしている。

便利なアクセスで患者の健康状態を向上

 推定1億3300万人のアメリカ人(人口のほぼ半数)が、高血圧、心臓病、関節炎など、少なくとも一つの慢性疾患を抱えている。65歳以上の成人のほぼ10人に9人(89%)が処方箋薬を定期的に服用しており、65歳以上の成人の半数以上(54%)が4種類以上の処方箋薬を服用しているという(NPOのKFF調べ)。

 アマゾン薬局のチーフ・メディカル・オフィサーで、現役の呼吸器専門医であるヴィン・グプタ医師は、「コストや移動の問題、あるいは単に薬局で薬を受け取る時間がないなどの理由で、命を救う可能性のある投薬治療を守っていない大人が大勢いる。患者の薬が、患者が購入可能な価格で、定期的に患者宅の玄関に届くことで、長期的な健康状態が改善されるだろう」と語る。