アマゾンのクラウドサービス「AWS」が、米ミシシッピ州に100億ドルの投資を計画している。これは、同州の歴史上最大規模の設備投資額となる。

 アマゾンは2010年以来、五つの梱包・仕分けセンター、四つの配送ステーション、五つの太陽光発電所、風力発電所、ホールフーズ・マーケットの店舗など、同州に23億ドルを投資してきた。

 さらに、同社のグローバルな慈善教育イニシアチブである「アマゾン・フューチャー・エンジニア」を通じて、同州74校がSTEM(ステム:科学・技術・工学・数学を通じて問題解決能力を養う)教育とキャリア探索コースを受講している。

二つのデータセンターを建設

 今回の計画では、100億ドルを投じて二つのデータセンター複合施設を建設する。マディソン郡経済開発局(MCEDA)と協力し、マディソン郡の二つの工業団地に複数のデータセンター複合施設を建設する予定であり、マグノリア郡では1000人以上の新規雇用を予測している。

 2011年以来、AWSは全米のインフラに1080億ドル以上を投資してきた。ミシシッピ州で急成長しているハイテク部門を活用することで、高賃金の新規雇用を創出する見込みだ。

 求職者が需要の高い職業に就けるよう、訓練プログラムや職業学習の機会を設計・開発・拡大するための支援を行う。具体的には、光ファイバーを溶接する「融着接続」技術を習得するワークショップや、教育者向けの「情報インフラ」ワークショップがある。

 光ファイバー技術者およびデータセンター・オペレーション・プログラムを実施するためのコミュニティ・カレッジおよび大学に対する研修および支援も充実させる。これは、業界の専門家による教員研修、実践的な学習を支援するための施設および機器の寄贈、学習プログラムの向上などからなる。

再生可能エネルギーの導入も

 アマゾンはミシシッピ州で再生可能エネルギーを購入する最大の企業でもある。同州初の公益事業規模の風力発電所をチュニカ郡に建設中で、この「デルタ・ウィンド・プロジェクト」は風力タービン41基を稼働させ、周辺の農地で米、大豆、とうもろこし、小麦の耕作を兼用する事業となる。

 開発業者でありオーナー経営者でもあるAES社によると、このプロジェクトは郡と学区に数千万ドルの安定した税収をもたらし、ピーク時の建設期間中には300人近い雇用を創出する見込みだという。

 アマゾンは2010年以降、インフラや従業員への報酬を含め、ミシシッピ州に23億ドルを投資して、同州のGDPを20億ドル押し上げたという。州内で7500人のフルタイムおよびパートタイム雇用を創出(2023年1月現在)したほか、9000人分の間接雇用もサポートしている。さらに、中小企業を中心とした州内1000社以上の独立系セラーがアマゾンのストアで販売している。

(冒頭写真はアマゾンの従業員。同社は、2010年以降、ミシシッピ州に23億ドルを投じ、多くの雇用を創出してきた)