アマゾンは10月5日、ヤマト運輸と連携し、マーケットプレイス事業者向けの新配送サービスを年内に始めると発表した。

 自社のECイベント「ECサミット」の中で発表した。新配送サービスは、事業者が自社で出荷を行う全商品が対象で、ヤマト運輸が提供するサービスの宅急便、宅急便コンパクト、ネコポスを特別運賃で利用できる。事業者の事業規模にかかわらず、特別な条件交渉や手続きの必要はない。

 特別運賃は、ヤマト運輸が提供する配送方法別に、各事業者の前月のサービスの利用箱数に応じて3種類の運賃が設定され、前月の利用箱数が合計500箱以上で最も割安な運賃が適用されるという。

 アマゾンはこれまで同社が商品を仕入れて販売する小売り事業を伸ばしてきたが、直近ではマーケットプレイス事業強化の打ち出しが目立っている。

 コロナ禍でEC市場は大きく伸びた。日本通信販売協会の発表では、2020年度の推計市場規模は10兆6300億円で、前年度から2割も伸びている。さらにここへきてメーカーが自身で商品を消費者に販売するDtoC(ダイレクト・トゥー・コンシューマー)の動きも活発化している。EC市場への参入企業が増える中、アマゾンは事業者の配送面でのコスト負担を軽減することで、自社マーケットプレイスへの参入を促したい思惑がありそうだ。

 加えてマーケットプレイス事業を主体とする楽天グループの楽天市場、Zホールディングスのヤフーショッピングとのさらなる競争激化は必至だ。