アマゾンが自社の手のひら認証サービス「アマゾン・ワン」を進化させた。顧客は専用のアプリで手のひらの写真を撮るだけでサービスに登録でき、入店や本人確認、決済がより簡単になる。
これまでアマゾン・ワンにサインアップするためには、実店舗で専用デバイスに手のひらをかざす必要があった。新しいアマゾン・ワンのアプリ(アップルのアップストアやグーグルプレイストアで入手可能)をインストールすれば、自宅や職場、あるいは外出先からサインアップが可能。サービスを導入している小売業者にとっても、レジ待ちの行列を短くできる。
一度サインアップすれば、全米に500以上あるホールフーズ・マーケットの店舗、アマゾンの複数の店舗に加え、スタジアム、空港、フィットネスセンター、コンビニエンスストアなどの150以上のサードパーティーの店舗で認証が可能だ。
専用デバイスに手のひらをかざすだけで、支払い、エントリー、年齢認証、ロイヤリティ特典などのサービスを受けられる。アマゾン・ワンの利用回数は800万回を超えており、店舗でアマゾン・ワンを利用した買い物客の80%以上が、このサービスを繰り返し利用しているという。
生成AIが認証の精度を向上
アマゾン・ワンは手のひら画像の機械学習に生成AIを活用している。最先端技術により、専用デバイスで読み取った近赤外線画像とカメラ付き携帯電話の写真を照合している。手のひらだけでなく、その下層にある静脈構造まで調べ、ID照合のために「手のひら署名」と呼ばれるユニークな数値ベクトル表現を作成しており、その精度は99.9999%を誇る。
アプリで撮影された手のひらの画像は暗号化され、AWSクラウド上の安全な専用ドメインに送信される。画像をスマホにダウンロードしたり保存したりできないようになっており、顧客のプライバシー保護とデータセキュリティを高水準で維持している。