アマゾンは起業家支援のための「配達サービスパートナープログラム(DSP)」に21億ドルの追加投資を行うことを発表した。2018年のプログラム開始以来の総投資額は123億ドルに達し、これまでで最大規模の追加投資となる。

 安全プログラム、DSPのレートカード、トレーニング、付加価値サービス、インセンティブなどに資金が投入される。レートカードとは、配送業者(配達サービスパートナー)にアマゾンから支払われる報酬や料金の基準を示すもので、ドライバーの賃金やボーナスの計算基準となっている。

 DSPは小規模ビジネスの起業家を支援し、配達会社の成長を促進することを目的に設立され、開始以来4400以上の企業が誕生し、39万人以上のドライバーが雇用され、これまでに580億ドルの収益を上げている。

 今回の追加投資の一部は、ドライバーの賃金と福利厚生を向上させるため、6億6000万ドルがレートカードの増加やボーナスに割り当てられる。これにより、ドライバーの平均時給は22ドル(約3100円、前年比7%増)に達すると予想されている。すでに多くのDSPはこれを上回る賃金を支払っているが、今年のレートカードへの投資は昨年より50%増加する(昨年は同35%増)。 

 また、ドライバーが給料日前に蓄積された賃金の最大50%にアクセスできる新しいサービス「PayActiv」も導入される予定だ。現金報酬や映画チケット、処方薬、ガソリンの割引、請求書の支払い、貯蓄ツールなどが一つのアプリで提供されるサービスだ。

 さらに、アマゾンはAIや機械学習を活用した安全対策も強化している。ルート計画や安全リスクの予測技術を導入し、配達業務をより効率的かつ安全に行える環境を整備する。今年末までに、2億本の道路のリスク特性を特定し、ドライバーに1800万件の安全指示を提供する予定だ。

 アマゾンはDSPプログラムを通じて、地域社会への貢献も目指している。昨年開始された「Together, We Give」プログラムでは、米国とカナダの800以上のDSPが地域に56万ドル以上の寄付を行い、4万9000人以上の学生に学用品を提供している。