アマゾンが年に1度の最大の割引セール「プライムデー2024」を世界で7月16日から2日間開催する。2015年7月15日にアマゾン20周年で始まったセールイベントは今年で10回目。お膝元の米国では小売業界を巻き込んだ一大セール期間となっている。
今回の対象国は日本も含み、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、エジプト、フランス、ドイツ、イタリア、ルクセンブルク、メキシコ、オランダ、ポーランド、ポルトガル、サウジアラビア、シンガポール、スペイン、スウェーデン、トルコ、アラブ首長国連邦、米国、英国、そしてインドのプライム会員が参加できる。
米国では月額14.99ドルまたは年額139ドルで加入できるプライム会員は、世界25カ国で2億人以上に拡大している。イベント期間中は、5分おきに新しいお買い得商品が追加される予定。
今回は「招待制」のお買い得品も登場。プライム会員は売り切れが予想される限定お買い得品への招待をリクエストすることができる。 ソニーのワイヤレスヘッドホンが最大40%オフ、ペロトンのエクササイズ機器が最大30%オフなど、注目商品が目白押しだ。
アマゾンプライム担当副社長のジャミール・ガーニ氏は、「35以上の製品カテゴリーで数百万のお買い得品やアマゾンデバイス、質の高いエンターテイメント、食料品、旅行などの割引をイベント期間中に提供する。昨年1年間でアマゾンの顧客はお買い得品やクーポンで約240億ドルを節約したが、その大半はプライム会員によるものだ」と語る。
すでに7月8日から15日までが「早期割引」期間となっており、人気ブランドなど一部商品のセールが始まっている。アレクサ端末と連動させて、個人向けにカスタマイズされたおすすめ商品の情報を通知させたり、事前予約したりすることも可能。
アマゾン・プライムビデオなどのサービスの期間限定割引も行われており、リアル店舗との連動サービスも。たとえば、プライム会員はアマゾンフレッシュ実店舗で買い物をすると、合計75ドル以上の買い物から15ドル割引になるクーポンがもらえる。アマゾンフレッシュ、ホールフーズマーケット、アマゾン上の様々な地元の食料品店や専門店での35ドル以上の注文の食料品配達が無制限になり、より便利な配達や受け取りオプションも利用できる。
ライバル各社も割引セールで迎撃
小売り大手各社もこの期間は、店頭からの客離れを防ぐためのセール展開に躍起だ。米国では秋から新学期や新年度となるため、児童・学生向けのセールも盛んになる。
クローガーは7月10日から2週間、クローガー・プラス会員向けに60ドル以上の割引セールを開催。期間中に年会費を延長すると、新規年会費が50%オフ、現会員は次年度年会費が半額になる。翌日配達無料などの特典もある。
ターゲットも各種の夏のセールをすでに実施中だが、新学期向けにリュックサックなど20ドル未満の20の必需品とターゲットサークル会員限定の割引を発表した。大学生は月額99ドル、そのほかの消費者は月額10.99ドル。また、期間限定で教師は初年度49ドルで年間購読に参加することができる。
セールの波は高級百貨店にまで及んでいる。メイシーズは、スター・リワード・ロイヤルティ会員を記念して史上初の「オールスター・ウィーク」を7月16日から23日まで開催する。シューズ、コスメティックス、ベッド&バス、アクティブ、ハンドバッグの一部のお買い物でロイヤルティポイントが3倍となる。
また、5つの設定カテゴリーのうち3つ以上で買い物をすると、20ドルのスター・マネーを獲得するチャンスもある。特定の一流ブランドのオンラインセールで買い物をすると、ロイヤルティポイントが10倍になる。期間中にカードを作成すると、最初の2日間、合計100ドルまで、さらに30%オフの特典を受けることができる(クレジット承認が必要、除外品あり)。
ノードストロームは7月15日から8月5日まで、今年最大のイベントである「ノードストローム・アニバーサリーセール」を開催する。7月11日から事前セールも開始している。ビューティやアパレル&シューズなどの人気ブランドが軒並み大幅値上げで提示されており、力の入れようがうかがえる。
米国では物価上昇から政策金利がなかなか引き下げられず、消費者は住宅ローンの借り換えができない状態が続いている。コロナ禍で支給された給付金も底をつき、株式市場などからみた好況感と異なり、消費者の生活実感は困窮度を増している。
外食でもマクドナルドやスターバックスの「5ドルセット」が集客増に貢献するなど、消費者の価格への目は厳しくなっている。そうした中でネット、リアルを問わず小売業界の夏商戦は「割引」「無料サービス」による顧客の囲い込みが大きなテーマとなっている。