タイでは2015年頃からペットブームで、生活に余裕が出てきたバンコクの中流以上の世帯で犬や猫を飼う家庭が増えている。それに伴い動物病院やペットグッズショップが増加し、スーパーなどのペット用品棚も拡大。23年1月にはタイのメディアに「タイ人の49%が子どもではなくペットを選択」という記事さえ出た。役所のペット登録件数が17年以降、出生率とは逆に増加しているという内容で、メディアがアンケートを取ったところ、49%の人が「子どもを持つくらいならペットを飼いたい」と答えたという。
タイの陸軍系銀行TTBは今年3月、タイのペット市場の規模が年内に前年比12.4%増の約750億バーツ(約3000億円)に達するとの予想を発表した。このうち、ペットフード関連が66億バーツ(約264億円)、用品関連が229億バーツ(約916億円)を占める。同試算によれば、昔のようなほぼ放し飼い状態の場合、年間の飼育コストは1匹あたり7745バーツ(約3.1万円)だが、現在のように家族の一員として扱う場合だと年間4万1100バーツ(約16.5万円)はかかるという。タイの平均世帯収入が月2.9万バーツ(約11.6万円)なので、まさに、子どもを養うくらいの覚悟がないとペットは飼えないということだ。