インバウンド牽引役はラグジュアリーにシフト
百貨店業界の2024年は完全にコロナ禍から脱し、「雲外蒼天」の1年となった。24年度上期の決算発表の席上では、「インフレなどで生活防衛意識が高まる状況において、堅調な実績だと評価している」(阪急阪神百貨店・山口俊比古社長)、「9期ぶりに最高益を更新する。想定よりトップラインが上振れている」(J.フロントリテイリング・若林勇人取締役兼執行役常務財務戦略統括部長)、「当社が過去数年とってきた様々な戦略が奏功し、各段階の利益は最高益を更新することができた。旗艦3店が高い伸びを示した」(三越伊勢丹ホールディングス〈HD〉・牧野欣功取締役執行役常務CSDO兼CFO)など、各社首脳の表情は揃って明るい。
百貨店業界の24年1~10月の累計売上高は4兆5938億円(前年同期比7.5%増)。23年の売上高はコロナ禍前以来となる4年ぶりの大台5兆円を奪回し、24年はコロナ禍前の水準5兆7547億円の回復が視野に入ってきた。