主役は「バベトラ」から「オロトマ」へ
食品スーパー(SM)の経営環境がいよいよ厳しさを増してきた。原価の高騰に対して十分な価格転嫁ができず粗利の確保は不十分なまま。そこに賃上げによる人件費増がのしかかり、24年度上期決算は上場SMの大半が増収減益での折り返しを余儀なくされた。ただ外部環境のトレンドはこの先も続く見通しだ。政府が掲げる2020年代中の最低賃金1500円を達成するには、24年(1055円)比で42%の賃上げが必要となる。そしてその間も進行するのが人口減少によるパイの縮小だ。
こうした環境下でトップラインを引き上げるのもままならない企業が増える中、俄然強まっているのがDS(ディスカウントストア)の出店攻勢だ。中でも注目はオーケー、ロピア、トライアルホールディングス(HD)。この3社の新店に加え、マミーマートのSMからDSの「生鮮市場TOP」「マミープラス」への転換店と新店を加えた4社の24年の出店数は計70店となった。前年も70店だったが、この中にはトライアルが買収した青森県のさとちょう18店など小型店が多く含まれており、24年のほうがより競合に与えるインパクトは大きかったと見られる。