脱百貨店化でJ.フロント、丸井が先行

 コロナ禍の2021年は、百貨店の神話がまた一つ崩壊した年となった。7~8月、阪神梅田本店で食品売り場を中心に150人弱が新型コロナウイルスに感染し、さらに阪急うめだ本店でも100人弱が感染。伊勢丹新宿店では1カ月で150人が感染した。いずれも売り場もしくは全館の休業に追い込まれた。政府は基本的対処方針を変更し、デパ地下の食品売り場などへの入場者の制限を要請。百貨店各社は従わざるを得ず各社とも入店者抑制を図ることになった。自らを「安全な商業施設」とし、顧客もそれを信じてきた百貨店業界にとって大きな衝撃であり、顧客離れを一段と加速させることになった。

 コロナ禍は依然、百貨店を打ち続ける。21年の業界の月商(既存店ベース)は、3月から上向き、とりわけ4月167.0%増(前年同月比)、5月65.2%増とコロナ影響を払拭したかに見えたが、第5波による感染再拡大で8月11.7%減、9月4.3%減と再び沈んだ。1~10月累計も3.6%増と回復は鈍い。20年の百貨店売上高は25.7%減の4兆2204億円と激減したが、21年も危機的状況を脱せず底ばいが続きそうだ。

この記事の購読は有料購読会員に限定されています。
まだ会員登録がお済みでない方はこちらから登録ください。
有料購読申込

すでに会員の方はこちらから