「全店休業」のショックから外部連携の思いを強くした

 コロナ禍以降、事業ポートフォリオの変革を進めるJ.フロントリテイリングが取り組みを一段加速させている。昨年10月、新たにコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)「JFR MIRAI CREATORS Fund」(JMCF)を発足。「未来をより良く、面白くする」のビジョンの下、5月23日現在までに既に4社のスタートアップに出資を行っている。

「2、3カ月もの間、弊社の全てのお店が閉まり、お客様との関係がオフライン上で完全に途絶えた。こんなショッキングな出来事は今までなかった」。コロナ第1波の当時をそのように振り返るのは、今般のCVC立ち上げを主導した経営戦略統括部事業ポートフォリオ変革推進部の下垣徳尊JMCF担当スタッフだ。下垣氏は大丸梅田店に12年間勤務。2019年から本社の経営企画に配属となり、そこで未曽有のコロナ禍を経験した。「コロナ後の百貨店の方向性を模索していた時、人と人との関係・結びつきを以前に戻すだけじゃ足りないと思った。個々人のライフスタイルや時間の過ごし方にまで入り込み、関係性をアップデートするような新たな取り組みができないかと考えていた」。

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