新型コロナウイルスの拡大が日本経済を揺るがせている。確認された感染者数が163人と3月24日に東京都に抜かれるまで国内最大の「被災地」だった北海道は、知事が国に先行する形で学校の休校や週末の外出自粛を打ち出し、「新型コロナ対策先進地」を全国に印象付けた。ところが「数週間での終息」という当初の見立てが狂い、道民の外出・移動の自粛ムードが長期化。消費は激しく落ち込み、流通業はもちろん、主力の観光業や農業・水産業などにも深刻な影響が及んでいる。強力なウイルスと無力な政治による「複合不況」に見舞われた北海道の現状をリポートする。

突然の外出自粛要請で流通業界に明暗

 北海道知事の知名度が一気に「全国区」となった。鈴木直道知事は2月26日、緊急記者会見を開き、北海道内の全小中学校1665校を翌27日から3月4日までの一週間、臨時休校するよう各市町村の教育委員会に要請したことを明らかにした。

 返す刀で2月28日には「緊急事態宣言」を出し、同日から3月19日までの3週間に集中的な対策を講じると発表。「北海道は全国で最も患者が多く、症状が軽い人からの感染拡大の恐れがある。まずは週末にできるだけ外出を控えてもらい、感染拡大のスピードを抑えたい」として、道民に対し土日(2月29日と3月1日)の外出自粛を求める異例の要請を行った。

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