谷深ければ山高しの急速な回復が続いた

 百貨店業界にとって2023年は、久方ぶりの春を謳歌した1年だった。22年から光明も見え始めていたが、流通業界の中で最もコロナ禍の影響が甚大だった百貨店は、「谷深ければ山高し」の言葉通り、急速な回復を続けた。

 1〜10月の累計売上高は4.2兆円(前年同期比9.6%増)。年間売上高はコロナ禍前の19年の5.7兆円には及ばないものの、22年にギリギリ未達に終わった5兆円に4年ぶりに到達するのは間違いないだろう。

 10〜11月に行われた23年度の中間決算の席上でも各社首脳の顔がほころんだ。「百貨店業界は非常に追い風が吹いている。インフレで顧客も買い控えをしなくなった」(三越伊勢丹ホールディングス〈HD〉 細谷敏幸社長兼CEO)、「富裕層消費の好調に加え、中間層にも一定の動きがみられるようになった」(J.フロントリテイリング 好本達也社長)と表情は明るい。

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