一本化では主導権争いが嫌でも起きるパワーバランス
2027年末までに実施される業界1位のウエルシアホールディングス(以下HD)と業界2位のツルハHDの経営統合。当初から「なるべく前倒しする」としていたが、「最低でも1年は早まる」(桐澤英明ウエルシアHD社長)情勢となった。米国居住株主が少なく、米国証券取引委員会に届出書を提出して承認を得る必要がなくなったためだ。つまり公正取引委員会の認可が下りれば、売上高約2兆2500億円、店舗数約5500店、市場シェア4分の1を握る巨大ドラッグストアが26年中に誕生することがほぼ確実になったのだ。
業界1位と2位を一緒にする統合スキームは、ツルハHDがイオンの連結子会社・ウエルシアHDを完全子会社化し、そのツルハHDをイオンが連結子会社化するというもの。ウエルシアHDが事業会社の1社としてツルハHDの傘下に入るという、誰もが耳を疑った想定外のスキームだ。「何でうちがツルハの下になるんだ」とウエルシアの幹部が大泣きしたという話も伝わるが、この統合を主導しているのは周知の通りイオンだ。筆頭株主のイオン入りを頑なに拒んできたツルハを篭絡するには、ウエルシアに因果を含めてのスキームが必要だったということだろう。