日本経済は久方ぶりに金利のある世界へ戻った

 2024年の日本経済は、力強さには欠けるものの底堅く推移した。景気の下支えに最も貢献したのが個人消費だ。前年に続き、春闘では大幅な賃上げが実現した。賃上げの背景には物価上昇を上回る賃上げの実現を促した政府の要請もあったが、企業サイドも人手不足が一層強まる中で、これに積極的に応じた。結果として、賃金の伸びから物価の伸びを引いた実質賃金は、政府の思惑通り6月にはプラスに転じた。これに合わせて実質家計支出も減少傾向から脱け出しつつある(図表1)。

 消費以外に目を転じると、生産活動は24年も伸び悩んだ。国内消費は落ち込みに歯止めがかかり始めたものの、輸出数量が緩やかながらも減少傾向を辿ったことが影響した。輸出停滞の背景には、欧州経済の回復の鈍さや、中国経済の低迷が挙げられる。円安効果によって輸出額自体は増加傾向を保ったものの、輸出数量が減少気味に推移したことで、生産活動も伸び悩んだ。製造業では23年来続いている在庫調整局面から完全に脱することはできず、生産活動は抑制気味の推移が続いている。

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