マルトの惣菜はいかにして生まれたのか。長年現場に立ち、マルトのスーパーマーケットとしての基礎を築いた安島光子副会長に話を聞いた。
――マルトの惣菜は副会長が一から始めたそうですね。
安島 鮮魚と惣菜が私の担当でした。それまでのよろず屋からスーパーマーケットを創業したのが1964年です。当時は人がおらず、嫁いだ安島祐司会長(故人)に、「おまえは何ができる」と言われ、「家庭で食べるものだったらできますよ」と答えました。小さい時から炊事をやっていましたし、叔母が魚を仕入れて売って歩いていたので、魚の食べ方や調理の仕方を教えてもらいました。さんまの開き方や塩漬け、ぬか漬けの仕方。そしてそれを市場に持っ て行って調理して、皆さんにお茶菓子として出すんです。そうすると「お姉ちゃんおいしかったな」って言われる。毎回同じでは駄目なので、今日は魚や野菜の天ぷらにしたら、次は別な天ぷらを持っていくとまた喜ばれました。だから会長に「私は魚と野菜関係だったらできます」と言ったら、「やるか」っていうことになったんです。