「三つの約束」をコンセプトに落とし込む
約5年ぶりの全面刷新だ。ローソンは3月27日、新PB「3つ星ローソン」を発表した。今後、現行PBの約95%を「3つ星ローソン」ブランドに統一し、10月までに順次切り替えを行う。ローソンは今年、創業50周年を迎える。新PBをフックに、同社が目指す姿を改めて消費者にアピール。認知度を高め、幅広い支持を得るブランドに育てたい考えだ。
PB刷新の背景にあるのは消費者の買い物行動の変化だ。物価高騰が続く昨今、消費者は割安なPBへのシフトを強める傾向にある。また、有職女性の増加などを背景に、買い物を手早く済ませたいタイパのニーズも高まっている。売り場で商品をぱっと見て購入を決めるにあたり、パッケージのわかりやすさはより重要なポイントになってきている。
こうした中、ローソンは2020年からPBの基本ラインとして「Lベーシック」「Lマルシェ」を展開してきた。パッケージはコロナ禍の生活にやさしく溶け込むデザインを志向。女性を中心に一定の支持を獲得したが、一方で「商品名や特徴がわかりづらい」との声も出ていた。
友永伸宏理事執行役員商品本部統括部長は、「タイパを求めるトレンドに現行のパッケージはマッチしていなかった」と話す。加えて近年、ローソンのPBがカテゴリーごとに細分化していたことにも触れ、「20種類近くのブランドが乱立していた。これもお客様にとってわかりにくい状況だった」と従来のPB戦略の課題を振り返った。
そこで新PB「3つ星ローソン」では、ブランドの集約を前提に、ローソンのPBとしての理念・価値・機能などが消費者にわかりやすく伝わる商品設計を目指した。
まず、ブランドの顔となるロゴマークは、ローソンを象徴する「L」の下に三つの星を置いたデザインとした。これは同社の事業方針である三つの約束――「圧倒的な美味しさ」「人への優しさ」「地球(マチ)への優しさ」を表している。
PBのコンセプトも三つの約束に沿っている。まず「圧倒的な美味しさ」では、ローソンが22年度から導入した、お客の声の具現化を第1とする新たな商品開発プロセスに則った商品づくりを徹底する。
「人への優しさ」では、パッケージのわかりやすさを追求した。商品名を濃く大きな文字で印字するとともに、商品群や味わいのイメージごとにメインカラーを設定。色が目に飛び込んできやすいシンプルなデザインにすることで、お客が識別しやすいパッケージに仕上げた。また、問い合わせの多いアレルゲン情報は見やすい商品前面に表示したほか、同じくお客が気にする添加物については、7月からコンビニで最も厳しい独自基準の運用を始める予定だ。
「マチへの優しさ」は環境対応。包材原料で環境配慮素材の使用を進める。現状47%の商品で対応済みだが、25年度をめどにこの比率を80%まで引き上げる。
「3つ星ローソン」は、スタンダードラインのほか、金のロゴを使用したプレミアムラインも設ける。現行PB約1000品のうち、ほとんどがスタンダード・プレミアムのいずれかに切り替わる。認知度の高い「からあげクン」、「マチカフェ」、「ウチカフェ」、「まちかど厨房」は、「3つ星ローソン」のもと、カテゴリーブランドとして継続使用していく。また、健康志向の「ナチュラルローソン」ブランドも独立させたまま残す意向だ。
新PBへの切り替えは、まず販売サイクルの短いデイリー商品でカテゴリーごとに進め、6月までには完了予定。ドライ商品、冷凍食品などは五月雨式に切り替えていき、10月までには統一を済ませる計画だ。

新商品が今上期にも続々登場
切り替えのみならず、新商品も続々登場予定だ。既に4月から、和スイーツ専門店「和楽紅屋」とのコラボ菓子「キャラメルサンド」を発売しているほか、6月には新感覚のカップ春雨「はるさめdeパスタ たらこクリーム味」を投入予定。低カロリーながら、濃厚な味わいで若い女性の支持獲得を狙う。また7月からは肉を満喫できるボリューム満点のフライドチキン「まんまる鶏」をカウンターで販売する。
「まずは切り替え対象商品について、26年に売り上げを現状から2割増やしたい」と友永部長。このベースに新商品を乗せ、さらにプロモーションなども絡めながら、ローソンのPBが変わったことを売り場全体で訴求。「ローソンと言えば『3つ星ローソン』とお客様にしっかり想起していただけるところまでやっていく」(友永部長)と意気込みは十分だ。
新PBは、創業50周年を迎えるローソンがさらなる進化を目指す上で中核を担う存在でもある。藤井均専務執行役員商品本部長は、「将来を見据えると、人口減少が続くなど国内の消費環境は厳しい。今まで以上にお客様一人ひとりとの長い付き合いが重要になる」と分析。従来重視してきたトライアル拡大から一歩踏み込み、トライアル×リピートを両輪で促進。何回も買ってもらえる、来店動機になる商品の筆頭に「3つ星ローソン」を据えていく方針だ。
昨年、KDDIと三菱商事が半分ずつ出資し、「未来のコンビニ」への変革に向けて取り組みを開始したローソン。新PBのスタートにより、商品面での未来への取り組みが1つ、力強く動き始めた。