小売業向けの防犯ソリューションを手掛けるエイト・シーズは、家電量販店向け万引き防止システムや、モニター型防犯カメラ「ミラとマモル」など、小売店舗における“窃盗犯罪を未然に防ぐ”ことを狙いとしたシステムを開発販売するソリューションプロバイダーだ。3年前に販売を開始したミラとマモルは、セルフレジでの不正防止に絶大な効果が認められるとして、イオン、オーケーなど全国のスーパーから引き合いが相次ぐ。
企業ミッションに「安心と安全を、世界にとどける」を掲げる同社は目下、社会を構成する“人”に寄り添う製品・サービスの展開に注力。直近発売したカスハラ対策ソリューションについて、事業開発責任者で副社長執行役員の髙橋聖宜氏に聞いた。
業界初のFMS※機能を搭載しトラブル発生を未然に防ぐ
「ふざけるな!」「責任者を出せ!」
小売店舗やサービス業の窓口などで、利用者から従業員に浴びせられる怒号や暴言。今、こうした行為はカスタマーハラスメント(カスハラ)と呼ばれ、深刻な社会問題となっている。
このカスハラから従業員を護るべく、エイト・シーズが8月から展開を始めたのが、従業員が装着しても使える小型カメラ「MM beans(エムエム ビーンズ)」だ。コンパクトなボディに録画、録音、SOSボタンなどの多彩な機能を搭載。中でも最大の特徴はモニターにある。MM beansのモニターはカメラの前部、つまり撮影者の側ではなく、被写体の側に付いている。対面する相手は、そこにリアルタイムに映し出される自分の姿を見ることになり、これが威圧行為の抑止になるというわけだ。

「日本ではともすれば、働き手よりお客様の方がエラい、と思われがちだが、そんなはずはない。人手不足の中で一生懸命働いている人たちが、理不尽なことを言われたり、されたりして、心がくじけてしまう。そんな悲しいことはあるべきではない。そういう人たちを護りたいと思ったんです」と髙橋氏はMM beans開発の動機を語る。
そのほかの設計も、徹底して現場の従業員に寄り添う姿勢にこだわった。操作ボタンはたったの二つだけ。ユニバーサルデザインで、誰でも使え、すぐに効果を発揮する。1回のフル充電で12時間連続で稼働し、赤外線モードにより暗闇でも鮮明に録画が可能。防塵・防水性に優れ、屋外や雨の日でも問題なく使用できる。さらに緊急用のSOSボタンも搭載。強力なフラッシュと警告音で相手を牽制し、働く人の安心と安全をしっかり護ってくれる。
ボディカメラとしての仕様が特徴的なMM beans。だが、専用のアタッチメントを使えば、卓上や壁面に取り付け、移動式の防犯カメラとして使うこともできる。「よって常時、従業員全員が身に着けておかなくてもいい。スーパーさんや専門店さん、ドラッグストアさんなどであれば、店長・副店長が1台ずつ持ち、あとは数台をサービスカウンターやレジ周り、バックヤードなど、通常の防犯カメラの死角になる場所に設置しておく。そしていざという時に持ってきて使うといった運用が効果的だと思います」と髙橋氏は推奨する。

小売店の売り場以外にも活用シーンは多岐にわたる。例えば、ドラッグストアの調剤部門を始めとした病院、介護などの医療の現場、警備や飲食業、交通、配達サービス、金融機関、ホテル、娯楽業など、あらゆる人と接する業種において活用が可能だ。また、接客や業務の記録を残せるので、サービス向上や従業員教育に役立てることもできる。
MM beansはレンタルプランにて提供している。よって初期費用はゼロ。月額料金は2980円(1台当たり・税別)で、ここには自然故障に対する保証なども含まれる。1日100円以下で使える経済的なサービスであり、現場にとって「すぐ効いて、投資回収が早い」ことも念頭に置かれている。
※face to face monitoring system(特許取得済)
専用ダイヤル「こころのケア相談窓口」を提供
MM beansの強みはこれだけではない。本製品を導入した現場に対し、エイト・シーズは専用のカスハラ相談ダイヤル「こころのケア相談窓口」を提供する。現場でトラブルの矢面に立った従業員が無料で利用できるもので、連絡を受けたオペレーターはその場で議事録を作成。これを企業の担当部署に共有し、加害者への対応と、被害に遭った従業員のケアを促すという仕組みだ。「カスハラが現場だけで処理されると、何の落ち度もない従業員が謝らされ、それで終わり、ということも少なくない。従業員は傷つき、早々に辞めていく。これは雇い主・働き手の双方にとって悪循環」と髙橋氏は指摘。従業員の心身被害を最小化し、離職や労災発展につながるのを防ぐ。MM beansはカメラというモノだけでなく、サービスもパッケージングし、「働く人の笑顔と未来を護る」総合的なソリューションとしての展開を目指していく。
エイト・シーズは現在、「年間で2製品(サービス)以上の市場投入」というKPIを掲げている。今26年4月期にはMM beansを含め、4製品のローンチを計画。近々展開を予定している「8Seas care」は、防犯ソリューションにとどまらない、小売業の困りごとを幅広く解決するサービスを構想している。
これまでの領域から飛び出し、大海に向けて漕ぎ出したエイト・シーズは今後、海外への展開も模索。世界規模での「社会課題の解決」への貢献を目指し、挑戦の航海を続ける。
