東日本向け、西日本向けに加え博多、信州で食べ比べ

 日清食品は、和風麺のトップブランド「日清のどん兵衛」の東日本向け商品と西日本向け商品で麺、つゆ、具材、七味をすべて分けた「ぜんぶ東西分け」を訴求し、地域に根差した和風カップ麺の価値をより明確にしている。

 日清食品は、コア商品「日清のどん兵衛 きつねうどん」「同 天ぷらそば」の麺、つゆ、具材、七味すべてを東日本向け商品と西日本向け商品で分け、9月にリニューアル。やや固めの麺が好まれる東日本向け商品のうどんとそばはコシの強さをアップ。具材の天ぷらは、江戸前天ぷらをイメージし、ごま油の風味をほのかに効かせ、香ばしさを増した。パッケージも「東」と「西」のアイコンを大きくあしらったデザインに変更し、〝ぜんぶ東西分け〟の実現を強調。このリニューアルが高く評価され、9月の売り上げは前年同月比1桁増で伸長している。

「日清のどん兵衛」は、発売当時から関ヶ原を境に「東」と「西」で味を変えて発売しており、東・西の味分けに対してユーザーの約8割が「非常に魅力的」として高く評価していた。ただし、その東西分けの認知度は3割程度にとどまっており、店頭でも東西分けの認知度を高めていく必要があった。

 日清食品マーケティング部第2グループの藤田美佳サブブランドマネージャー(SBM)は「今回、『どん兵衛』のコアの価値である地域の味へのこだわりを最大限表現するために、麺、つゆ、具材、七味のすべてを東西に分けるリニューアルに踏み切った」と決意のほどを語る。

 この東西味分けの認知度をさらに高める取り組みとして、「利きどん兵衛」シリーズを10月から期間限定で発売している。通常、どん兵衛は異なる地域で商品を購入できないが、「利きどん兵衛」シリーズを全国発売することで、「きつねうどん」と「天ぷらそば」の東西の味の計4品を食べ比べできる。さらに「利きどん兵衛」オリジナルフレーバーとして、「きつねうどん 博多」と「天ぷらそば 信州」の2品を追加。全国で計6品の食べ比べを楽しめる。

「きつねうどん 博多」は、焼あごのほか、鰹などの魚介節を利かせ、独特の香りと奥深い旨みを感じられる。「天ぷらそば 信州」は鰹の豊かな香りと旨みに濃口醤油を合わせたつゆに加え、噛みごたえのある太切りのそばを使用している。

(上段) 日清のどん兵衛シリーズ 「きつねうどん」東日本向けと西日本向け、(中段)同「天ぷらそば」の東日本向けと西日本向け、(下段) 「日清の利きどん兵衛」シリーズ 「 きつねうどん 博多」と「天ぷらそば 信州」

 日清食品は、つゆを変えた「食べ比べ」シリーズを2011年から発売しているが、ユーザーの半数以上が複数個の購入で味の違いを楽しんでいることが分かった。今年3月には、北海道限定で販売しているきつねうどん「北のどん兵衛」、九州地方特有のだしの味わいのオリジナル「南」を加えた「東西南北」として発売したところ大きな話題となった。

 藤田SBMは、「小売業さまからも反響があり、発売前の段階でブランド全体の売り上げは計画比約1.5倍を見込んでいる。今上期はブランドトータルで前期比1桁増と好調に着地しました。今下期も『ぜんぶ東西分け』や『利きどん兵衛』の認知度アップにより、年末の最需要期に向けてさらに力を入れていきたい」と力を込める。

 プロモーションでは、今春から放映している俳優の吉高由里子と板垣李光人が出演するテレビCM「どんぎつね」を継続する。利きどん兵衛では、SNSで話題になっている、こっちのけんとの曲「はいよろこんで」のリズムに乗せた「利き利きどん」のフレーズを訴求するウェブCMをSNSを中心に投入する予定で、プロモーションでも需要喚起を図る狙いだ。

「日清のどん兵衛」の麺、つゆ、具材、七味をすべて分けた「ぜんぶ東西分け」を訴求していく

具材の玉ねぎを大切りにした「鬼かき揚げうどん」が大好評

 日清食品は「どん兵衛」の主力商品「きつねうどん」と「天ぷらそば」以外の、「鬼かき揚げうどん」や「鴨だしそば」、「肉だしそば」「カレーうどん」といったメニューを「サブコア商品」と位置づけ、こちらの育成にも力を入れている。

 そのサブコア商品の中で人気の高い「鬼かき揚げうどん」「鴨だしそば」を9月にリニューアルした。鬼かき揚げうどんは、「具材に使用する玉ねぎを大切りに」(藤田SBM)することで、玉ねぎの甘みや旨みがより一層引き立ち、シャキシャキとした食感もアップ。生姜を新たに加えることで、さっぱりとした後味に仕上げた。「鴨だしそば」は具材の鶏つくねに炭火焼き風味を加え、よりおいしく仕上げている。

 このリニューアルによって両商品は大きく伸長。中でも鬼かき揚げうどんは9月の販売実績が前年同月比2桁増を達成した。藤田SBMは「どん兵衛ユーザーの半数がきつねうどんや天ぷらそばだけの購入にとどまっている。サブコア商品を育成することでコア商品との買い合わせを図りたい」と力を込める。そのため、サブコア商品に絞ったウェブCMも11月から放映を予定している。

 日清食品は、地域に根ざした味の追求やSNSを中心としたプロモーション展開で「地域の味のおいしさを追求している」への認知度を高め、和風カップ麺売り上げナンバーワンのブランド力の底上げを図る。