サラヤが2026年の取引先向け方針発表会において、来春発売する新商品とリニューアル品を明らかにした。25年10月に閉幕した大阪・関西万博ではパビリオン「ブルーオーシャン・ドーム」を支援し、多くの来場者に海に関する課題を共有するなど、積極的な情報発信に努めた。ポスト万博となる26年は、今年30周年を迎えたカロリーゼロの植物由来甘味料「ラカント」のリニューアルを始め、社会課題解決型商品を食品、生活用品の両分野で打ち出す計画だ。コンシューマー事業本部の山田哲取締役本部長(冒頭写真左)は挨拶の中で、「未来を切り開くSDGsカンパニーとして、衛生・環境・健康の3部門でお客様の課題を解決していく」と力を込めた。
「ラカント」で今以上に健康寿命延伸につなげる
2026年の目玉は、今年で発売30周年を迎えた「ラカント」のリニューアルだ。
ラカントは1995年に、植物うまれのカロリーゼロ甘味料として誕生。当時、日本では糖尿病患者が急増しており、新たな社会問題となっていた。そこで“社会課題をビジネスを通じて解決する”石けん洗剤メーカーであったサラヤがこの課題に挑戦。試行錯誤の末に生み出したのがラカントだ。発売後は糖尿病予防の啓発に努め、エビデンスに基づいた特別用途食品として、管理栄養士や糖尿病専門医などの推奨を得て病者市場で成長。13年には「食・楽・健康協会」の設立にも参画。ロカボマークを取得した商品を通じ、糖質コントロールの普及も支援してきた。
一方で砂糖と同じ甘味度で使いやすく、おいしさにもこだわってきたが、近年の研究の結果では、和風だしの風味を引き立てる効果もあることが判明し、ミシュラン三つ星シェフの江﨑新太郎氏を始めとする多くの有名料理家の支持を獲得してきた理由も明らかになった。
ただ30年を経てなお、ラカントが果たすべき役割はまだまだあるとサラヤは考えている。その一つの理由が健康寿命と平均寿命の差だ。この20年で男女それぞれの寿命は伸びているものの、健康寿命と平均寿命の差は縮まっておらず、男性は8年、女性は12年、何らかの健康上の問題を抱えている。それらを縮めるための対策の一つが「食と健康の栄養管理」であり、まさにラカントの出番というわけだ。
また厚生労働省は29年の国民健康調査の重点テーマに糖尿病を掲げており、今後もサラヤはラカントを通じ、29年に向けて糖尿病予防の啓発に取り組む構え。
そこで今年30周年を迎えたラカントの新たな一歩として、来春パッケージのリニューアルを実施する。パッケージ中央には原料である羅漢果の実をあしらい、量販店用、ドラッグストア用の基本デザインを統一し、表示コピーも見直した。同社は「健康でおいしいというラカントのブランド価値を視覚的に伝えていきたい」と、リニューアルに力を込める。

合わせて来年の新商品として、ラカントを使用した菓子も発売する計画だ。ビタミンや食物繊維などの栄養を摂取できる低糖質グミ「モギュイット」、強メントール効果で集中力をサポートする「カロリーゼロのど飴ブラック」の2ブランド。これにより、ラカントシリーズの顧客層の幅も広げていく。

また同じく食品からは、今夏発売した熱中症対策商品の「しおまる」と「ノマナイトウォーター」のさらなる配荷に注力する。しおまるは、「しょっぱくない塩ラムネ」をキャッチコピーに据えた、子どもが食べやすいソーダ味の塩タブレットだ。今年はドラッグストアを中心に展開を進めたが、来年はスーパーやコンビニにもアプローチを広げる。
ノマナイトウォーターは、夜間トイレに立ちたくないシニア層が水分補給を控えることで熱中症になるケースを受け、開発された商品。摂取すると水分が体内でゆっくり吸収されるため、夜間の尿意減少と熱中症予防の二つの課題をクリアできるすぐれものだ。
こちらは今夏ドラッグストア店頭での熱中症対策飲料としてカテゴリー新規率が最も高く、かつリピート率も高い結果が出たことから、今期はさらなる知名度アップと取り扱い増加に努めることで、新市場創造につなげていきたい考え。
独自の界面活性剤で「楽育」を実現
生活用品においても、社会課題解消型商品を投入していく。その注目商品が「アラウ・ベビー」ブランドの「泡ストローマグ洗い」だ。
アラウ・ベビーのブランドパーパスは、「“はじめて”の不安に寄り添い、愛情いっぱいの楽育を支えるパートナー」。育児を楽しくラクにする「楽育」ブランドとして、安心で心にゆとりがもてる子育てを支援していくのが狙いだ。
今回の泡ストローマグ洗いは、幼少期に長く使用するストローマグに注目した商品。ストローマグは子どもの食事の際や外出時などにお茶などを飲ませるための必需品だ。
ただ面倒なのが洗浄時。ストローマグは商品特性上、ストローや容器、フタなどいくつものパーツに分解できることから、「母親の8割が洗うことにストレスを感じると回答したアンケートもあるほどのいわば発狂グッズ」(マーケティング担当者)でもある。

そこで泡ストローマグ洗いは、ストローの中までしっかり洗える独自開発の「ピタッと泡ジェットノズル」を採用。泡がジェット噴射されるので、ストローはもちろん、マグやボトルの奥底まで洗浄成分を行き渡らせることができる。
そしてもう一つの重要ポイントが、洗浄成分に、サラヤが世界で初めて開発した天然界面活性成分「SOFORO(ソホロ)」を採用している点だ。
SOFOROはパーム油と砂糖を原料に天然酵母が発酵によって作り出す天然界面活性剤。その特徴は、高い洗浄力はもちろんのこと、安全性が高く、環境への影響が従来の界面活性剤より圧倒的に低い点が挙げられる。
これを洗剤の処方に採用することで、1回のプッシュでしっかりと泡が立ち、こすらなくとも汚れやぬめりをしっかり落とすことができるほか、ストロー内でもすぐ洗い流せる高いすすぎ性も実現。もちろん赤ちゃんに優しい無添加だ。

ちなみにこのSOFOROは、アラウ・ベビー以外にも「ハッピーエレファント」シリーズなどのほか、化粧品や食品に使用される一方、その安全性の高さから近年注目される再生医療の分野においてiPS細胞の凍結保存液としても活用できるなど幅広い可能性を有している。今後サラヤでは2050年までに、全ての合成界面活性剤をSOFOROを含めた生物由来の界面活性剤に変更することを目指している。石油由来の界面活性剤が海洋汚染につながっていることから、「SOFOROに未来を託して海を守っていきたい」と商品開発本部の平田善彦・取締役本部長は思いを語る。
サラヤは社会課題や消費者の新しいニーズを探求し、消費者に寄り添った商品づくりとマーケティング施策に今後も取り組んでいく構えだ。
サラヤ 更家悠介社長/結びを作りビジネスで社会課題を解決したい

サラヤの原点は熊野にあります。もともと林業を営んでおり、熊野川を通じていかだで樹木を新宮町まで持っていっていました。熊野には日本の精神性が現れています。海のような包摂性とボルネオの山のような多様性、そして神道と仏教が平和的に共存していたように、いろんなものを結び合わせて新しい価値を創造してきた。これはビジネスの世界で言うところのイノベーションです。米国の経済学者シュンペーターはイノベーションとは新結合だと説いています。
万博のブルーオーシャン・ドームには色んな方が来られました。パラオの大統領や国連海洋会議の代表であるピーター・トムソンさんもいらっしゃった。ここで水産資源の課題について話し合い、一週間「対馬ウィーク」ということで、対馬の現状についての発表もされました。万博は閉幕しましたが、私どもは「ブルーオーシャン・イニシアチブ」という団体を通じて、今後も海洋課題の解決に貢献したい。今後もお取引先の皆様と結びを作って、ビジネスを通じて社会課題を解決していきます。
















