メルカリは3月4日、スマホ通信サービス「メルカリモバイル」の提供を始めた。「メルカリ」のアプリを通じて申し込みができ、データ通信料を個人間で売り買いできる機能を備える。フリマや金融事業などメルカリ全体で幅広いサービスを展開し、相互に連携させることで、利用者の囲い込みを狙う。
メルカリモバイルは、仮想移動体通信事業者(MVNO)として、NTTドコモの回線を利用する形で展開する。サービス内容は、音声・SMS・データ通信サービスの提供で、料金プランは月額990円(2GB/税込)と2390円(20GB/同)の2種類。申し込みから支払いまでがメルカリのアプリで完結する。
同サービスの最大の特徴は、通信料を消費者間で売り買いできる点だ。例えば通信量が1GB分余った人はそれをメルカリのアプリ内で「出品」することができる。逆に足りない人は出品されている通信料を「購入」することで、即時に利用分を増やせる。通信料は1GB単位で出品可能。1GBあたりの最低出品額は200円で、最高額は500円だ。

メルカリは、独自の調査から、スマホ回線の乗り換え・変更について消費者が感じているハードルが依然高いと分析。また、月々のデータ通信料が余ってしまうという人が一定数いる一方、逆に毎月追加で購入する人もおり、契約内容と実際の利用実態のギャップを認識していた。
メルカリの永沢岳志執行役員CEO Fintech 兼 MVNO事業責任者は「スマホをより柔軟なプランで、かつお得に利用したいというニーズに対応することで新たな価値を創出できると考えた」と新サービス立ち上げの意図を説明。「まずはメルカリをすでに使っている人に、他のサービスとの連動性や機能で乗り換えてもらうことを目指す。早期に事業単体としても黒字化を果たしたい」と語った。

半年ほど動向を見た後、サービスやプランについても適宜見直す計画だ。SIMについては、スタート段階ではeSIMのみの取り扱いだが、今後物理的なSIMカードもリリース予定。また近い将来、au回線でのサービス展開なども見込むとした。
永沢執行役員は、今後自社で基地局を展開する移動体通信事業者(MNO)を目指す可能性については「明確にない」と否定。一方で、メルカリやマーケットプレイスの「メルカリShops」などを絡めながら、「端末の販売とセットで回線の変更を提案する方法については検討していきたい」と話した。