若年層の人気も高い家系ラーメンの名店が監修
Mizkan(ミツカン)は今秋冬、新商品の投入と販促の強化で若年世代をはじめとする客層の拡大に向けて、新たな鍋つゆの価値提供に力を入れていく。
2023年度(23年9月~24年2月)の鍋つゆ市場は407億円で前年比96.7%。暖冬により鍋の回数が減少したことが大きな要因で、特に鍋シーズンの立ち上がりである9、10月の気温が高かったことが響いた。ただ、もともと鍋つゆ市場はコロナ前から10年以上伸び続けており、コロナ禍で20年に内食需要が高まったことで市場規模がさらに拡大。その反動で近年はダウントレンドではあるが、19年から5カ年の年平均成長率は101.5%(鍋つゆ計)で、全体の約8割を占めるパウチタイプが101.5%、2割を占める個包装タイプが102.9%と市場自体は好調に推移している。
また、23年に発売した名店監修系鍋つゆ「札幌味噌拉麺専門店けやき監修 札幌味噌鍋つゆ」と「中華蕎麦とみ田監修 濃厚豚骨魚介鍋つゆ」(各750g)が好調で、23年度の名店監修系鍋つゆ全体の売り上げは約32億円と、鍋つゆ市場の約8%を占めている(金額ベース、推計値)。
今回、この名店監修系鍋つゆの第3弾商品「家系総本山吉村家監修 横浜豚骨醤油鍋つゆ」(冒頭写真左)を新たに投入。家系ラーメンの名店「家系総本山吉村家」とミツカンが一丸となり、横浜家系ラーメンのこだわりを鍋で再現した。コクのある醤油とじっくり煮込んだ濃厚なとんこつスープに、家系ラーメンの特徴でもある鶏油をきかせたコク深い味わいが特徴だ。若者人気も高い横浜家系ラーメンの味を自宅で堪能できる上、〆のラーメンも楽しめる鍋つゆとして提案する。また、ラーメン系の鍋は寒さが本格化する前から食される傾向にあるため、鍋シーズンの始まりである秋口の需要をつかむ狙いもある。
ミツカンの開発担当者は「吉村家を謳う上で、単に味わいだけでなく、香りや色みも含む五感で吉村家らしさを表現できているかを重視し、吉村家らしさの紐解きと再現に苦労した」と商品化の舞台裏を語る。また、鍋として最適な味のバランスや濃さを目指し、食べた後の満足感が高いおいしさを作り上げた。
さらに、「けやき」「とみ田」の2品を新たに「職人一丸」シリーズとしてリブランドし(同中央、右)、商品パッケージに「職人一丸」の文言とロゴを入れた「吉村家」とシリーズ3品で打ち出す。同シリーズは各名店の店主とミツカンの技術者が何度も試作と協議を重ね、家庭の食卓でも職人たち自身が食べてほしいと思える味に仕上げた自信作。その魅力がより伝わるようにパッケージを刷新した。シリーズ3品の同時陳列によって、名店監修系鍋つゆ市場を活性化させていく狙いだ。
加えて、「けやき」「とみ田」は新たにたれ「職人一丸 札幌味噌拉麺専門店けやき まかないのたれ 札幌味噌」と「職人一丸 中華蕎麦とみ田 まかないのたれ にんにく醤油」も発売。肉料理や副菜などにかけるだけで幅広いメニューを楽しめる逸品として展開する。
人気のしゃぶしゃぶ専用スープをストレートタイプに広げる
さらに、これまで個包装タイプのみだった、しゃぶしゃぶ専用スープ「スープしゃぶ 極みだし」のストレートタイプ(750g、3~4人前)を新発売。味が付いたスープの中に豚肉をくぐらせてスープと一緒に楽しむ、しゃぶしゃぶ専用スープで、かつお、さば、むろあじ、昆布のだしをバランスよくブレンドした芳醇な旨みが特徴だ。「スープしゃぶ」シリーズはほかにも「極みだし柑橘」「極みだし豆乳」をラインアップしているが、ベースの「極みだし」が最も売れ行き好調だったことからストレートタイプにも展開を広げた。しゃぶしゃぶは鍋と比較して気温や季節に関係なく食されるため、秋口の需要や新規ユーザーの拡大を狙う。
ミツカンでは、それぞれの食べ方やレシピを提案することで、家族はもちろん、友達とのキャンプや鍋パーティーなど、さまざまなシーンで鍋を楽しんでもらうために積極的に情報を発信。気の置けない仲間とのにぎわいや幸せな瞬間の中心には鍋があるというメッセージを通じて、若年層の取り込みにも力を入れる。鍋つゆの本格需要期となる9月下旬から11月下旬にかけて、ウェブサイトやSNSなどで吉村家監修の鍋つゆや「〆鍋」シリーズの販促を実施。「〆鍋」シリーズは10月から11月に新テレビCMを放送する予定で、「ぽん酢」と鍋つゆのマストバイキャンペーンも9月下旬から11月下旬にかけて実施する。
また、今冬公開の映画とのタイアップ商品「〆まで美味しい トリュフ香る蛤のマリニエール風スープ ~チーズ仕立て~」も発売予定。貝の白ワイン蒸しのマリニエールをイメージし、蛤の旨みが広がるチーズ仕立てのクリーミーな鍋スープだ。
新たな価値の創出で若年層への訴求も強化するミツカンは、鍋つゆ市場の活性化に向けてさらに邁進する構えだ。