米アマゾンの法人向けサービス部門「アマゾンビジネス」は、生鮮食品の当日配送を米国内2300都市超の法人顧客に提供開始したと発表した。ユーザーは乳製品・青果・精肉・鮮魚・焼き菓子・冷凍食品・食料品といった要冷管理品目を、オフィス用品や清掃用品などの一般消耗品と同一カートでまとめて注文し、一括配送で受け取れるようになる。

 配送料金の体系は次のとおり。ビジネス・プライム会員は25ドル以上の注文で当日配送が無料となり、基準を下回る場合は2.99ドルの手数料が発生する。非会員は注文金額にかかわらず12.99ドルの手数料が適用される。配送時間帯はチェックアウト時に選択でき、生鮮品の受け取りと保管が可能な営業時間内に合わせることができる。温度管理された物流網を活用して鮮度を維持し、アマゾンの「フレッシュネス保証」バッジが付いた品目については品質を保証する。なお、商品は入荷時と出荷前に6項目の品質確認を経るとしている。

 アマゾンビジネスの副社長シェリー・サロモン氏は、「コピー用紙やインクカートリッジと一緒に牛乳や果物も注文し、一度の配送でまとめて受け取りたいという要望に応えた」と説明した。アマゾンビジネスは全世界で800万超の企業・団体に利用されており、フォーチュン100企業のうち97社が顧客に含まれるという。2026年を通じてさらに多くのエリアへの展開を予定している。

生鮮配送を法人向けに拡大

 今回の発表は、アマゾンが一般消費者向けに構築してきた生鮮食品の当日配送網を法人市場に転用したものと位置づけられる。「まとめ注文・まとめ配送」という利便性は、中小企業の休憩所の商品補充や会議用の食料調達など、特定の用途で一定の需要を引き出す可能性がある。

 一方で、法人向け生鮮配送には個人向けとは異なる課題もある。受取担当者の確保や保管設備の整備など、事業所側の受け入れ態勢が前提となる点は利用範囲を限定する要因になりうる。配送窓口の選択制はその対応策の一つだが、実際の運用での利便性は顧客の業種・規模によって異なるとみられる。

 アマゾンビジネスが、既存の法人顧客基盤を足がかりに食料品購買の取り込みを図るという戦略的意図は明確だ。カテゴリー拡張が注文単価の向上や取引頻度の増加にどの程度貢献するかが注目される。