富士通は、小売業向けオファリングサービス「Uvance for Retail」の提供を開始する。
同サービスは、データとAIを掛け合わせることで小売業の本部と現場双方の意思決定を高度化し、現場の機動力を引き出すもの。メーカー、卸、物流などで分断されていたデータをクラウド上に統合し、業界横断で業務を連携する基盤システムを構築。そのうえで富士通のAIエージェントが、店舗業務の自律化やパーソナライズされた購買体験を提供する。
3月2日の記者説明会に登壇した古濱淑子執行役員常務エンタープライズ事業担当は、小売業の現場に潜む課題として「三つの断」を挙げた。販売や在庫など多様なシステムが社内に存在しデータが分散する「分断」、メーカーや卸など業種ごとにデータ構造が異なり連携が難しい「遮断」、さらに分断・遮断された大量データを扱いきれず、現場が経験に頼って意思決定してしまう「独断」である。
古濱常務は「欧米企業と比べると、日本はデータの分断が多く、日本固有の商習慣も根強く残っている。例えば決済一つとっても、日本は電子決済の種類が多く複雑。こうした状況ではAIとデータ活用は進みにくいのが実情。しかし、プラットフォームを統合し、APIでつながる環境を整えることで、変化への対応力は高まる。こうしたサービスを提供しながら、日本の小売業の課題解決を加速させていきたい」と力を込めた。
今回の取り組みの背景には、昨年富士通にグループ入りした2社との協業がある。世界65カ国以上でPOS・店舗システムを展開するGK Softwareと、AIを活用した企業コンサルティングや高性能なSaaSプロダクトを提供するブレインパッドだ。
とりわけブレインパッドは、「店長支援AIエージェント」の取り組みを進めている。日々行っている売り上げデータの分析やキャンペーンの効果検証、次のアクション提案などをAIエージェントが担当。スキルの平準化によって「誰もがスゴ腕店長」になれる環境を目指している。こうした知見を同ソリューションと組み合わせることで、店舗現場の機動力を高める狙いだ。

富士通では、リテールビジネス全体の7〜8割を「Uvance for Retail」が占める構想を描いており、これによりリテール事業の売上高を、現在の700億円から2030年度には2000億円規模へ引き上げる計画だ。
(冒頭写真 左から、GK Software CEO兼会長のマイケル・シャイブナー氏、富士通 執行役員常務の古濱淑子氏、ブレインパッド 社長CEOの関口朋宏氏)
















