害虫対策は早め対応がトレンド

 〝夏の長期化〟を背景に、日本の虫環境が変わりつつある。害虫の出現期間の長期化に加え、これまで西日本に被害が集中していたマダニによる被害が関東でも報告されるなど、様々な害虫において従来の生息地や活動範囲から変化が生じてきている。

 こうした変化を受け、2025年の殺虫剤市場は前年比102%の1400億円超で着地した。春先は低気温の影響で動きが鈍かったものの、5月中旬以降は天候の回復に伴い害虫の活動が急拡大。8~10月も高気温が継続し、同107%で推移した。今や殺虫剤市場は、晩秋まで続くロングラン市場へと成長している。

 通年で害虫被害と向き合う必要性が高まる中、生活者の意識も変化している。「1匹の蚊、1匹のゴキブリにも過敏になっている」とフマキラー担当者は指摘。背景には、被害そのもの以上に「侵入させたくない」「見たくない」という心理的ハードルの高さがある。退治だけでなく、〝予防効果〟へのニーズが高まっているのが、近年の特徴だ。

 こうした変化に対し、フマキラーは今年、虫の侵入経路・活動場所・生活者の心理という三つの視点から商品を提案。効き目と安全性の両立を追求した殺虫剤7SKUを上市する。

 中でも目玉となるのが、エアゾールタイプの「おうちバリアスプレー」(防除用医薬部外品、400ml)だ。蚊・ハエ・ゴキブリといった生活害虫を侵入前に駆除する設計で、不快害虫中心だった従来の侵入防止剤市場に踏み込んだ。四連ノズルによるワイド噴射で、アミ戸や壁など広い範囲もムラなく処理。蚊・ハエは約4カ月、ゴキブリは約1カ月※1、待ち伏せ殺虫効果が持続する。さらに直接噴霧での駆除効果も持たせており、侵入後の対処にも対応する。シーズンの長期化を受け、2~10月で売り場展開する小売店も増えつつあり、生活害虫対策における新たな選択肢を提示する。

※1降雨のあたらない場所に使用方法どおり処理した場合。期間は使用場所・使用環境により異なります

「おうちバリアスプレー」(400mL)(防除用医薬部外品)

 次にムカデ対策だ。蚊やハエに続き、ムカデ対策市場もここ5年で安定成長を続けている。背景にあるのは、「噛まれる恐怖」と「見たくない嫌悪感」の二つだ。特に西日本で需要が高く、家庭内での遭遇例も少なくない。さらに地域によって「ゲジ」「ヤスデ」など名称が異なり、対策対象として十分に認識されていないケースもあるため、潜在的な需要も大きい。そこで今期フマキラーはムカデ対策を「置く」「ワンプッシュ」「まく」の三方向から提案、市場開拓へのアクセルを踏み込む。

 駆除エサ剤「ムカデキラーPRO」(8個入り)は、ムカデの食性に着目し、アミノ酸系魚介エキス(たんぱく質)を配合した誘引毒餌剤だ。容器へのよじ登りを防ぐ縦ワイドの侵入口を採用し、大きなムカデも侵入しやすいデザイン。玄関周りや家の外周に置くだけで効力を発揮する。

 ワンプッシュ剤「ムカデキラーワンプッシュ」(60プッシュ)は、室内に噴霧するだけで忌避空間を形成。粉剤や毒餌剤に抵抗のあるユーザーにも導入しやすく、集合住宅の玄関やベランダなど、設置スペースが限られる環境での使用を想定する。

左から、「ムカデキラーPROプロ」(8個入)、「ムカデキラーワンプッシュ」(60プッシュ)

 リニューアル品の「アリ・ムカデ粉剤」(1kg)は、3種類の薬剤を配合した独自処方で速効性を高めた。水をはじくシリコーンオイルによる特殊コーティングで雨に強く、効き目が長持ちする。家の周囲にまくだけで、最大約2カ月※2侵入を防止する。

※2 アミメアリ、ムカデの場合。期間は使用環境(天候、場所)により異なります

強みのワンプッシュ式でダニ対策市場を攻める

 フマキラーの強みであるワンプッシュ式も主要テーマの一つだ。そこで今季は前述のムカデに加えダニ・ヤブ蚊を対象としたワンプッシュ式3品を投入する。

 ダニよけ剤「ダニワンプッシュ トリプルジェット」(30プッシュ)は、屋内の空間や布団、ぬいぐるみ、カーペットなど生活動線上のダニを広範囲で対策する新製品だ。ダニ対策市場は昨年苦戦したが、その背景には「見えない」「効いているか分からない」といった体感性の低さがあった。そこで同社は、三方向に広がる「トリプルジェット」ノズルを開発。6畳空間をワンプッシュで処理できる噴射角度を算出し、実験では部屋の四隅までダニよけ効果を確認した。予防効果は最大2カ月※3。同商品を皮切りに、ダニ対策市場開拓を推し進める構え。

※3対物噴霧処理でのコナヒョウヒダニに対する効果

「ダニワンプッシュ トリプルジェット」(30プッシュ)

 一方、ヤブ蚊対策剤「ヤブ蚊バリア ワンプッシュタイプ」(防除用医薬部外品、120回)は、地面に処理することで、玄関先やベランダをピンポイントで守る発想の商品だ。最大12時間※4蚊を寄せつけないため、ガーデニングやベランダでの作業や物干し、子どもの送り迎え前など、簡単に対策したい場面に最適だ。オイル量を65%(従来品エアゾール対比)カットしているため、灯油臭やベタつきが気になる層にも従来品とは異なるアプローチで訴求ができる。

※4茂み処理の場合(天候および使用環境により異なります)

「LOGOS」との協業商品、左から「アロマ香るアウトドア線香」(30巻缶入)、「小さなお子様にも使えるお肌にやさしい虫よけ」(60ml)(防除用医薬部外品)、「ヤブ蚊バリアスプレー」(480ml)(防除用医薬部外品)

殺虫剤と親和性の高いアウトドア需要を狙う

 コロナ禍以降、キャンプやフェスの定着により、アウトドア市場は高単価商材が並ぶ力強い市場へと成長した。

 そこにフマキラーは着目。アウトドアブランド「LOGOS」と協業し、虫よけ、線香、ヤブ蚊バリアスプレーの三品を発売する。中でも「アロマ香るアウトドア線香」(30巻缶入)は、グリーン、シトラス、ローズの三つの香りを用意。アウトドアでの屋外利用を想定し、有効成分を従来品の3倍量に高めた。本格的な虫よけに、香りという新たな価値を加えた新提案だ。発売は4月上旬からで、キャンプシーズンのゴールデンウィークに向け、店頭を盛り上げる意向だ。

 LOGOSとの協業にとどまらず、フマキラーは通年でアウトドア売り場との連携を強めていく。人体用虫よけ剤「スキンベープミスト イカリジンプレミアム レモングラスの香り」(防除用医薬部外品、80ml)は、天然精油香料100%で、さわやかな香りが特長の虫よけ。有効成分イカリジンを15%配合し、蚊に加えマダニやトコジラミにも約8時間効果を発揮する。確かな虫よけ効果を強みに、十分にアプローチできていなかった若年女性層のエントリー獲得を狙う。


左から、「スキンベープミスト イカリジンプレミアム レモングラスの香り(80mL)(防除用医薬部外品)、「食品にも使えるアルコールスプレー ナチュリア」(500mL)

 さらに、日用品カテゴリーからは、食品成分100%の「食品にも使えるアルコールスプレー ナチュリア」(500ml)を投入する。日常のキッチンでの除菌をメインの使用箇所として上市するが、調理器具の衛生管理が課題となるアウトドアシーン等との親和性にも可能性を模索する。抗菌効果は約1カ月持続※5。国内酒造メーカーのアルコールを使用し、スプレーするだけで細菌・ウイルスを99・99%除去※6。食卓やまな板、包丁の除菌に使用可能だ。デザインは、ワインボトルをイメージした設計で、ラベルにはフマキラーの開発棟である「ブレーンズ・パーク」を施し、高級感を演出している。

※5すべての菌、ウイルスを除去できるわけではありません。保存容器や調理器具への抗菌効果。水洗いやふき取り、高温等により効果は異なります
※6 すべての菌、ウイルスを除去できるわけではありません

シーズン、クロスMD提案で機会損失を防ぐ

 今季の営業政策は大テーマに「アメイジング」を掲げ、①市場創造、②売り場主義、③販売促進の三本柱で展開する。

 売り場主義では、殺虫剤販売の長期化に対応。年初(3~5月)からは予防商材、最盛期(6~9月)には危険害虫対策を、晩期(10月以降)には危険害虫対策の延長に加え、不快害虫対策も組み合わせながら機会損失のない売り場づくりを目指す。

 クロスMDでは、アウトドア売り場との連携に加え、花火売り場、災害対策売り場など、新たな切り口での提案陳列を通じて、需要を創造する考えだ。

店頭ではシーズン、レジャーに合わせて殺虫剤提案を強化していく

 販売促進は、広告宣伝やAIを活用した仕掛けを提供。従来のテレビCMや新聞に加え、SNSやオンデマンドメディアなどのデジタル媒体にも積極的に出稿し、幅広い年世代の生活者に向け多角的なアプローチを強化する。

 フマキラーは26年、日常を守る〝ホームディフェンス〟とレジャー対策のシーンに合わせた提案を、商品と売り場の両面で注力していく方針だ。