鍋つゆ売上ナンバーワンブランド「〆鍋」を大型刷新

 Mizkan(ミツカン)は今秋冬の「鍋つゆ」商品施策で、新たな食卓シーンやニーズの開拓に注力する。「ホッとする鍋も、ワクワクする鍋も、ミツカン!」をテーマに、安心感のある定番品に加え、値ごろな食材で贅沢な味わいを求める傾向が高まっていることから特別感のあるアイテムも提案。多彩な新商品の投入で、鍋メニューの喫食機会の向上につなげ、市場の再成長を目指す。

 2024年度下期(24年9月~25年2月)鍋つゆ市場は、前年同期比約2%増で着地した。価格改定の影響もあり、購入者の平均単価が上昇したことが市場拡大の主な要因となった。同社実績も市場並みに前年をクリア。ストレートパウチ「〆鍋」シリーズなど定番品の購入率やリピート率が前年を上回り、鍋つゆの売り上げ拡大につながった。

 これを受けて今秋冬も、基幹ブランド「〆鍋」をさらに強化する。今期10アイテムで展開する同シリーズは、12年連続で売り上げナンバーワンを記録する(出典:インテージSCI鍋つゆ市場2013年3月~2025年2月 各年購買金額シェア)鍋つゆカテゴリーのトップブランド。食材をたっぷり入れても、長時間煮込んでも、最後の一口までおいしく食べられるよう、香りや味にこだわった鍋つゆシリーズで、〝定番の鍋つゆ〟として家族世帯を中心に支持されている。

 中でも、今年で発売20周年を迎える「ごま豆乳鍋つゆ」は一番の売れ筋。今秋冬では9年ぶりに品質・パッケージともに刷新し、再活性化を狙う。品質については、華やかな香りを持つすりごまを新たにブレンドすることでごまの含有量を10%増量し、より芳醇なごまの香りにこだわった。

 同じく人気の「キムチ鍋つゆ」など6アイテムについても品質を見直し、パッケージについては全品刷新した。シリーズ全体でデザインの統一感を高めることで売り場での視認性を向上させた。「おいしさ、最後まで。」の新キャッチコピーも配置し、ブランド価値を改めて訴求していく。

 新商品としては、「北海道産ほたてと蛤の貝だし鍋つゆ」を発売。道産ほたてのだしと蛤のエキスを使用した、貝の奥深い旨みが特徴で、贅沢な味わいの鍋が自宅で手軽に楽しめる。牛乳を加えることで子どもも食べやすい「クラムチャウダー風」、にんにくとオリーブオイルを加えることで「ボンゴレ風」など様々なアレンジができる。また鍋の本格需要期である12月以降については、売り上げの山を作るため、新商品(数量限定品)の発売を予定するなど、購入頻度拡大につながる仕掛けも実施していく。

左から「〆まで美味しい ごま豆乳鍋つゆ」、「同 キムチ鍋つゆ」、「同 北海道産ほたてと蛤の貝だ し鍋つゆ」

世界の文化や料理をヒントに、「鍋THE WORLD」を開発

 鍋つゆ市場の再成長を狙ったアイテムとしては、ストレートタイプ「鍋THE WORLD」を投入した。トマトベースのクラムチャウダーをヒントに開発した「トリュフ香るマンハッタンクラムチャウダーテイスト」、魚介の旨みがつまったサフラン風味の「オマール海老の海賊ブイヤベーステイスト」、牛骨の旨みが溶け込み本格的な辛みも楽しめる「発酵唐辛子のユッケジャンテイスト」の全3品。簡便さや栄養バランスといった鍋としての良さは持ちつつも、世界の文化や料理のエッセンスを取り込むことで、おいしさとワクワク感を提供する新シリーズだ。

 同社調べによると、鍋つゆ市場は現在、年間1000種類を超える商品が流通しているが、その一方で、鍋料理に対して飽きやマンネリ感を感じている消費者が多くいるという。その課題に正面から向き合うため、単なる「味の変化」ではなく、「体験の変化」を提供する新たな鍋つゆブランドとして同シリーズを開発した。スープと鍋の両方の要素を持つため、暖冬影響による鍋つゆの立ち上げ期(9〜10月)の売り上げ減少の最小化にもつなげていく。

左から「鍋THE WORLD トリュフ香るマンハッタンクラムチャウダーテイスト」、「同 オマール海老の海賊ブイヤベーステイスト」、「同 発酵唐辛子のユッケジャンテイスト」

 ラーメン店監修シリーズ「職人一丸」には、個食タイプを投入した。辛旨味噌のやみつき感のある辛さが楽しめる「札幌味噌拉麺専門店けやき監修 ラーメン鍋 辛旨味噌」と、豚にんにくラーメンのクセになる旨さが味わえる「中華蕎麦とみ田監修 ラーメン鍋 豚にんにく」の2品。個包装タイプで一食分が2袋入っているため、名店の味わいを一人前から楽しめる。ラーメンファン層である若年男性をターゲットに拡販を図る。

左から「札幌味噌拉麺専門店けやき監修 ラーメン鍋 辛旨味噌」、「中 華蕎麦とみ田監修 ラーメン鍋 豚にんにく」

 ミツカンは鍋つゆカテゴリーのトップメーカーとして、多様化するニーズを掴むアイテムを今秋冬も投入し、市場拡大にまい進していく構えだ。