丸大食品が、2025年秋季の新商品16品、リニューアル品10品、計26品を順次発売する。同社は今年の商品政策テーマに、「『おいしい』笑顔は毎日を明るくする」を掲げ、製法・素材、時短・簡便、健康、家計応援、SDGsの五つを切り口に商品開発に取り組んでいる。その中でも同社が特にオススメする、ハムソー部門・調理加工部門の新商品4シリーズを紹介していこう。

ラインナップ強化でウインナーの食シーンを増やす

 ハムソー部門からは、今年で発売30周年を迎えた「燻製屋熟成あらびきポークウインナー」シリーズの新フレーバー「ブラックペッパー」が登場する。

 燻製屋シリーズは、ハム・ソーセージ市場全体が微減傾向にある中、昨年から好調を維持している。24年春夏はパリ五輪施策で数字を伸ばし、秋冬は新フレーバーの「レモン&パセリ」を投入。これの販売が好調であったことから、今春から通年販売に切り替えるとともに、夏には「瀬戸内レモン&パセリ」を限定投入するなど、新たな施策を打ち続けてきた。

 今秋投入するブラックペッパーは、燻製屋シリーズのウインナーに、これまた燻製したこだわりのブラックペッパーを追加した、夕食のおかずや酒のお供にぴったりの一品。食べるとまず肉の旨味が広がり、そのあとブラックペッパーの風味がふわっと広がる。思わずもう一本手に取りたくなる味わいを追求した。開発担当者は「レモン&パセリに続き、ブラックペッパーで朝食需要以外のウインナーの食シーンを増やしていきたい」と力を込める。

 販促策は、今年10~11月は映画「おいしい給食 炎の修学旅行」とのタイアップ、12月~26年2月はミラノ冬季五輪とのタイアップで店頭を盛り上げる。合わせてSNSではウインナーを使った醤油バターコーンごはん、サッポロ一番塩らーめんとウインナーを使ったカルボナーラなどの“背徳飯”や、他社とのコラボメニューも配信。新たな食べ方提案で新規ユーザーも取り込み、燻製屋ブランド全体で売り上げ二桁増を狙う。

 続いてハムソー部門が投入するのが新シリーズの「パパッと使える」シリーズ。袋に入った大容量品「たっぷり使える」シリーズの売り上げが好調であることを受け、袋入りの利便性に加え、そのまま「切らずに使える」をコンセプトに据えた時短・簡便商品だ。

 ラインナップは、切落しショルダーベーコン(115g)、同バラ焼豚(80g)、キザミハム(60g)の3アイテムを選定。たとえばショルダーベーコンであれば、サンドイッチやパスタ、ほうれん草の炒め物などにぱぱっと使える。メニューを想起させるべくパッケージデザインを1アイテムあたり二つずつ用意しており、売り場での関連販売を後押しする。

右からパパッと使える 切落しショルダーベーコン、同 切落しバラ焼豚、同 キザミハム。メニュー想起のためにパッケージデザインを1アイテムあたり二つずつ用意した

男女に人気のトレンドを取り入れた新商品を投入

 調理加工部門からは、主力ブランドの「スンドゥブ」シリーズに新商品「にんにくスンドゥブ」が加わる。丸大食品のスンドゥブシリーズは、17年連続で売り上げナンバーワンを誇るトップブランド。今春にはパッケージとともに、発売以来、初となる味の見直しも実施した。

 今回発売するにんにくスンドゥブは、従来品にも含まれるにんにくの量を2倍以上配合し、パンチの効いた味わいを実現。実はにんにくは、「外食や中食でもっと提供してほしい味・食材」として男女問わず人気の食材だ。「コロナでマスクを付けるようになり、においを気にせずにんにくを楽しめるようになったことが、今のにんにく人気につながっている」と担当者は語る。

 パッケージには黄色を採用。食品スーパーでは、量目が“がっつり”とした「二郎系」ラーメンの関連販売売り場を作る企業が増えている。その二郎系も黄色のパッケージであることから、取引先からは「売り場にもマッチする」と好評。このにんにくスンドゥブも加え、今期はシリーズ計で売り上げ二桁増を目指す。

「にんにくスンドゥブ」

 そしてもう1品、商品政策テーマをまさに体現させたのが、「おうちでトルティーヤ」(5枚入り)。メキシコ料理であるトルティーヤは、25年のトレンドグルメに選出されるなど、いま注目度の高い商品だ。

 中でも他社のトルティーヤは小麦粉原料のものが多い中、丸大食品は本場メキシコで多く使われているコーンフラワーを配合。香りがよく、さらりとした食感でありながら、挽き肉や野菜などの食材の巻きやすさにもこだわった。売り場では関連販売を通じてアレンジレシピも推奨。子どもも大人もトルティーヤを巻いて食べる、楽しい食卓の一助となりたい考えだ。

「おうちでトルティーヤ」

 丸大食品は原料高騰が続き、販売数拡大がしにくい精肉、加工肉の売り場活性化に向け、今秋季も全力で拡販に努める構えだ。