「商品、価値啓発、原料の三位一体でレモン事業の拡大を推進していく」。ポッカサッポロフード&ビバレッジの佐藤雅志新社長は、4月25日に開かれた業界誌紙向けの社長就任会見で、持続的な成長の実現に向け、「ポッカレモン」に代表されるレモン事業に注力していく考えを強調した。同事業に経営資源を集中投下することで、さらなる需要創出と市場拡大を図る。
佐藤社長は就任の挨拶で「我々の強みはレモン。レモンには様々な機能がある。健康志向が高まる中、価値啓発に取り組み、お客様のウェルビーイングに貢献していきたい」と力強く抱負を語った。
レモン事業の目指す姿として掲げた三位一体の事業拡大のうち「商品」では、主力の100%果汁「ポッカレモン100」と、クエン酸入り炭酸飲料「キレートレモン」を柱に同事業全体で、今期は前期比9%増(金額ベース)を目指す。「ポッカレモン100」は昨年9月に、機能性表示食品(高めの血圧を下げる)としてリニューアル。健康機能の訴求が功を奏し、昨年度は前期比8%増(金額ベース)で着地しており、今期も好調に推移している。
「価値啓発」では、今年1月にレモン事業における加工技術や素材開発を推進するため、「レモン技術開発部」を新設した。血圧低減や浮腫み防止効果などレモンの健康機能性について調査研究を進め、食育や情報発信などを通して啓発活動にも取り組んでいく。
「原料」では、果汁の安定調達と、果皮や果肉など果汁以外の利用用途拡大を目的に、国産レモンの生産振興に力を入れる。広島県内の複数の自治体との連携協定に加え、昨年は静岡県磐田市と協定を締結し、需要の落ち込む茶畑からレモン畑への転作を促す。同社の国産レモンの使用量は、年間約400トン。2030年をめどに年間1300~1500トンの使用量拡大を目指すという。
佐藤社長は、1967年生まれの58歳。89年にサッポロビールに入社し、2019年に同社仙台工場長兼ポッカサッポロフード&ビバレッジ仙台工場長に就任。その後、両社の取締役執行役員などを経て今年3月、ポッカサッポロフード&ビバレッジ代表取締役社長兼サッポログループ食品代表取締役社長兼サッポロホールディングス常務グループ執行役員に就任した。