全国各地の名産品に触れる絶好の機会
スーパーマーケットに関わる様々な業種が集うBtoBの商談展示会「第59回スーパーマーケット・トレードショー(SMTS)2025」が、2025年2月12~14日の3日間、千葉市の幕張メッセ全館で開催される。
SMTSは全国スーパーマーケット協会が主催する大規模な商談展示会だ。食品・日用品メーカーから卸や資材関連・店舗開発・情報サービスなど、小売業を取り巻く関連企業、さらには官公庁や地方自治体などが出展する。毎年食品スーパーを中心に小売業のバイヤーが多数来場し、新たなビジネス開拓の場や、業界の最新トレンドが収集できる場として支持を集めている。
前回のSMTS2024には、延べ2190社・団体、3521小間が出展し、3日間で7万5858名が来場した。今回は値上げや人手不足など、スーパーマーケットを取り巻く環境はより厳しさを増しており、商談展示会の重要性は1段と高まっている。こうした外部環境から、SMTS2025では2195社・団体、3615小間(11月1日現在)の出展が予定されている。
中でも地方産品コーナーは都道府県ブースを含めて1400社以上の地方メーカーが出展する。同時開催展と合わせると40近い都道府県がブースを展開し、市町村や商工会、企業の単独出展を含めると47都道府県すべてをカバーしており、全国各地の名産品に触れる絶好の機会となる。
さらに海外からも15カ国、105社・団体、140小間が出展する予定だ。全国スーパーマーケット協会の吉沢敦SMTSチームリーダーは、「日本各地の名産品、海外商品ともに問い合わせが非常に多い。皆様のご期待に添える展示会にしていきたい」と気を引き締める。
「食のトレンドゾーン」に「タイパ」「たんぱく質」ゾーンを新設
会場となる幕張メッセ全館のうち、1~8ホールではSMTSの「生鮮」「加工食品」「菓子・スイーツ」「飲料・酒類」「設備・資材」「店舗開発・販促」の各ゾーンに加え、同じく全国スーパーマーケット協会主催の「デリカテッセン・トレードショー(DTS)2025」が開催される。9~11ホールではSMTSの「地方・地域産品」ゾーンと、食品産業センター主催の「第20回こだわり食品フェア2025」が地域の食を提案する。
今回の主催者企画の見どころは、未来のスーパー像を研究すべく、全国スーパーマーケット協会の会員小売業と、ソリューション企業が共創しながら推進する協議体として15年からスタートした「Future Store 〝NOW〟」(FSN)の展示だ。
FSNでは、23年11月から分科会でのカテゴリー別強化施策と効果検証に取り組んでいる。具体的には、売り場に近距離無線通信機器「ビーコン」などを設置し、来店客がどの時間帯に何を購入しているのかを調査・分析するというものだ。
今回はラルズが「惣菜」、ベルジョイスが「冷凍食品」をテーマに、11月の1カ月間、実証実験を実施。中でもラルズは売り場にサイネージを設置し、その商品を調理している映像などを流した。SMTS内のブースでは、これらの取り組みの成果をパネル展示するほか、セミナーステージではラルズおよびベルジョイスによる、実証実験についてのパネルディスカッションを行う予定だ。
最新のトレンド情報を発信する「食のトレンドゾーン」では、前回の「インバウンド×食」「冷凍×食」に加えて、新たに「タイパ×食」と「たんぱく質×食」の2ゾーンを新設した。
中でもタイパでは、時短の側面だけでなくあえて時間をかけて結果までのプロセスに価値を創造する「プロパ」(プロセスパフォーマンス)をかけ合わせた新たなタイパを提案する。吉沢氏は「ただ時短だけを追求すれば、豊かな食生活への関心が低下しかねない。手間を省きながらも調理を楽しめる提案で、スーパーマーケットに来ていただけるようにしたい」と狙いを説明。ブースではタイパとプロパを高める食品や調理機器・器具を紹介するほか、セミナーステージではプロパを提唱する、ひめこカンパニーの山下智子社長による特別セミナーも実施する計画だ。
また消費者のニーズが依然として高い「冷凍×食」には40社・団体、102小間が出展し、冷凍に関する様々な商品を提案する。「インバウンド×食」ゾーンでは、24年の年間訪日外国人観光客数が過去最高を更新する見込みであるなど、インバウンド需要の盛り上がりを受け、食品スーパーが需要を取り込むための商品やサービスなどの情報発信を強化する。
このほか、主催者企画の「セミナーステージ」では、2月12日の合同開会式後に横山清会長による恒例の「SMTSスピークス」が予定されている。タイトルは「どうなるスーパー ~創発的破壊~」だ。また「スーパーマーケット業界におけるカスタマーハラスメント対策について」「そろそろ本腰いれて取り組みたいインバウンド対応」やスーパーマーケット白書2025関連では「国内インフレの現状と今後の見通し」「物価高・賃金上昇下での小売動向」(タイトルに変更の可能性あり)など、スーパーマーケットの旬の話題を取り上げる講演を多数用意している。第7回を迎える「スーパーマーケットにおける品質改善成果発表大会」では、原信ナルスやハローデイ、マミーマート、ライフコーポレーションなど9社の取り組みの発表が予定されており、生産性改善の参考にぜひチェックしておきたい内容となっている。
来場前にはSMTS・DTSの出展商品を検索できるウェブサイト「リテールトレンド」で気になる商品をチェックしておくのもおすすめだ。数ある出展者の中から、よりターゲットを絞り込んだ検索が可能となっており、会場での効率的な出展ブース回りに役立つ。
「お弁当・お惣菜大賞」に1万5256件がエントリー
中食産業に特化した商談展示会「DTS2025」には、49社・団体、249小間が出展する予定だ(11月1日現在)。
14回目となる恒例企画「お弁当・お惣菜大賞2025」には、日本全国から1万5256件がエントリー。部門は弁当・惣菜・サラダ・麺・丼・おにぎり・寿司・パン・スイーツ・各国料理(タイ、ベトナム、シンガポール、インドネシア、マレーシアの料理)・魚弁当の計11部門に加え、環境に配慮した容器を選出する容器部門も設けられている。それぞれ最優秀賞、優秀賞、特別賞、入選が選ばれ、結果は1月15日に発表される。
DTSでは、表彰式や受賞商品の展示を行うほか、受賞商品の一部は来場者が会場内のフードコートで購入し、実際に食べることもできる。
このほか、会場では店内調理の導入提案として、スチコンを使った料理を来場者に実際に食べて体験してもらう「食べくらべ体験STAND」を設置する。今回は健康志向の高まりなどで注目が集まる鯖の調理を実演する。味はもちろんのこと、効率的に大量の調理をこなせるスチコンの利便性を会場でアピールする。
またこちらも恒例となったデリカに関する情報をまとめた冊子「惣菜デリ最前線2025」の無料配布も実施する予定だ。
SMTSは26年に第60回を迎える。これを節目として、全国スーパーマーケット協会は27年から新規商談展示会を立ち上げ、年2回開催すると発表した。同年7月に開催予定の新しい展示会ではSMTSから生鮮3品とDTSを移行し、生鮮3品と惣菜、それらに関連したロジスティクスソリューションを扱う。こちらも幕張メッセで開催の予定だ。
事業環境がめまぐるしく変化し、スーパーマーケットは新たな課題に絶えず向き合うことが求められている。SMTS・DTSで得られる情報をはじめ、人や企業との交流は、厳しい環境下で成長を遂げていくためにもますます欠かせないものとなりそうだ。