コンビニベンダー工場のシェア6割以上を占める
コンビニベンダーの食品工場で築き上げてきた実績を武器に、クレオがスーパーマーケット業界での取り組みを拡大している。
同社は、食品工場などの製造設備や配送用容器等の専用の洗浄機器・洗浄剤の販売から洗浄システムの構築まで手掛ける業界大手だ。洗浄機・洗浄剤のハードに加え、洗浄を極めるサニテーション技術をはじめとしたソフト、全国主要都市にきめ細かく配置したメンテナンスの三位一体体制が評価され、ハイレベルでの衛生管理が求められるコンビニベンダーの食品工場で6割以上のシェアを誇っている。
そのクレオが現在着目しているのがスーパーマーケット業界だ。
スーパーでは、これまで商品ごとにメーカーが自前の通い箱(クレート)に入れて納品してきたが、物流効率化の観点からクレートの統一化が進められており、最近は、スーパーが用意したクレートにメーカーが商品を入れて納品する方式に変わりつつある。加えて、スーパーでは、人手不足や人件費高騰を受け、生鮮の加工や惣菜の製造を店舗からプロセスセンター(PC)、デリカセンターへとシフトしており、PCやデリカセンターからの納品も増えている。
これにより店舗で保管するクレートが増えているが、店によっては屋外に積み上げられていることも多く、雨や埃にさらされるリスクが高い。また、一見汚れていないように見えても、生鮮食品や日配食品などを運んだ後のクレートにはさまざまな菌が付着しており、そのまま再利用するのは衛生的ではない。実際、使用後のクレートの衛生状態をATPふき取り検査*で調べると、スーパーマーケット業界が定める基準値の3000を大きく超える数値を示すこともあるという。
*生き物をはじめ多くの有機物に含まれるATP(アデノシン3リン酸)を汚れの指標にした衛生検査。洗浄・清掃した箇所の評価をその場で数値化する。「食品衛生検査指針(微生物編 第2版、2018年)」や「スーパーマーケットにおけるHACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書」(全国スーパーマーケット協会)などに収載されている。
規模に応じたラインを構築省エネ設備の提案も
そこでクレオは、スーパー業界に向け、クレートやオリコンなどの配送用容器や、食品加工・製造現場で使用するミキサー・スライサーや番重の洗浄、さらに工場内の空調やフードの洗浄まで、安全・安心な食品づくりに欠かせない衛生レベル向上の提案をしている。SMTS2025でもクレート洗浄脱水機、オリコン洗浄脱水機、クリーンカット・キララの三つの洗浄機を展示する予定だ。
クレート洗浄脱水機は、洗浄後に高速回転の遠心力で水切りをする装置。衛生的な洗浄はもちろん洗浄の省人化と、乾燥工程に熱風を使用しないことによりCO2削減が実現できる。1時間あたり最大2000枚まで洗浄できる機械をラインアップし、マテハン機器と組み合わせることで、1日に数万枚に及ぶ大量処理と、洗浄に関わる工数のさらなる削減が可能となる。
オリコン洗浄脱水機は、折り畳んだ状態のオリコンを1度に4枚、1時間あたり120枚程洗浄脱水ができる装置。約1m角のコンパクトサイズで、電気と水しか使用しないため設置がしやすいのが特長。手拭きで行うことが多いオリコン洗浄だが、センターの空きスペースに設置できるので、簡単に機械化することができる。
三つ目のクリーンカット・キララは、PCやデリカセンター内で使用する番重の洗浄機。上下側面に設けたノズルから洗浄水を噴射、番重を載せたラックが回転をするので、全体を死角なく洗浄することができる。油や調味料、ポテトサラダなど頑固な汚れを一掃する洗浄力と使いやすさが評価され、数多くの食品工場で導入されている同社のロングセラー商品だ。
クレオでは、こうした洗浄機の導入により、スーパーの食品加工や惣菜製造現場の衛生管理の効率化に寄与する構えだ。
さらに、CO2排出量やエネルギーコスト削減につながる排水熱回収装置も展示する。洗浄機で洗浄・すすぎに使用するお湯の温度は60度にもなる。そのまま排水せず、装置内を通すことで新たに使用する水を温め、昇温に使用するエネルギー消費を抑えるものだ。名倉豊夫社長は、「CO2排出量削減の目標値を設定されていたり、エネルギー代の高騰によりコスト削減が課題になっている企業様に、胸を張ってお勧めできる製品です」と力を込める。これまでも排水熱回収の仕組みはあったが、客先のニーズを捉え従来よりも熱効率を高め、コンパクトで既存の洗浄機にも後付けできるよう改良した。この最新機をSMTSで強くアピールする姿勢だ。
名倉社長は、「SMTSではスーパーの経営者のみなさま、PC・デリカセンター管理のご担当者様に弊社の洗浄機をご覧いただき、効率的な衛生管理の仕組み構築にお役立ていただきたい」と力強く語った。
出展ゾーン:設備・資材ゾーン
ブース番号:7ホール 7-210