セブン&アイ・ホールディングスは9月6日、カナダコンビニ大手のアリマンタシォン・クシュタールから受けていた買収提案について、「賛同しかねる」とする回答書簡を送付したと発表した。

 アリマンタシォン側から法的拘束力のない初期的な提案を受けていることについては、セブン&アイが8月19日に明らかにしていた。提案は1株当たり14.86ドルで現金で全株式を取得する内容だったという。7月中旬~8月中旬の間の為替レートで換算すると、1株2150~2400円程度となり、買収総額は6兆円規模を想定していたと見られる。

 しかしセブン&アイは、「提案はタイミングを計った機会主義的なものであり、当社の株主価値の短中期的な実現について著しく過小評価している」と買収価格が不十分であると主張。また、「米国の競争法当局との関係で直面するであろう重要な課題について適切に考慮されておらず、クロージングの確実性が担保されていない」と競争法上の問題についても指摘。実効性の伴う協議を行うだけの根拠・材料の提示を求めた上で、「さらなる協議が必要」との見解を示した。

 買収提案を受け、セブン&アイは取締役会議長のスティーブン・ヘイズ・デイカス氏を委員長とする特別委員会を設置。複数回の会議を行ったが、現状の提案内容については「ステークホルダーの最善の利益に資する提案ではない」と全会一致で結論づけた。

 7月から8月にかけ、セブン&アイの株価は1600~1900円台で推移していた。アリマンタシォンの買収提案の価格は3割前後のプレミアムが乗っていた計算になる。ただ、買収提案が明らかになり株価が上昇。9月5日の終値は2164.5円だった。為替レートも足元では円高傾向で推移しており、プレミアムはほとんどなくなっている。

 アリマンタシォンはアメリカ、カナダを中心に世界約30カ国に約1万7000店を出店する世界的コンビニチェーン。24年4月期の売上高は692億ドル(約10兆円)と、セブン&アイの約11兆円(24年2月期)と近い規模を有する。今回の提案は実現していれば、海外企業による日本企業買収としては最大級となる見通しだった。今後はセブン&アイ側の返答を受けたアリマンタシォンの出方が焦点となる。