セブン&アイ・ホールディングスは8月19日、カナダのコンビニ大手、アリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けていることを明らかにした。今後、独立社外取締役で構成する特別委員会を組織し、受け入れなどについて検討する。

 先方からの提案は現状、法的拘束力のない初期的なものという。セブン&アイは検討にあたり、取締役会議長のスティーブン・ヘイズ・デイカス氏を委員長とし、独立社外取締役のみにより構成される特別委員会を組成する。同社のスタンドアローン計画及び企業価値向上に向けた他の選択肢とともに、慎重かつ網羅的に、かつ速やかに検討し、アリマンタシォンに返答する予定としている。

 同日、セブン&アイの株価は急騰し、前週末終値比400円(22.7%)高の2161円とストップ高を付けた。日中時点で時価総額は約5兆6000億円。仮に買収が実現すれば、海外企業による日本企業買収としては過去最大級になるとみられる。

 アリマンタシォンはカナダのトロント証券取引所に上場しており、時価総額は約800億カナダドル(約8兆5000億円)とセブン&アイを上回る。「クシュタール」や「サークルK」といったブランドでコンビニを展開し、アメリカ(約7000店)、カナダ(約2000店)を中心に世界約30カ国に約1万7000店を出店している。ヨーロッパやアジアのほか、アフリカの一部にも店舗がある。

 24年4月期の売上高は692億ドル(約10兆円)。同じくコンビニを中核とするセブン&アイの約11兆円(24年2月期)と近い規模を有する。ただしアリマンタシォンの場合、売り上げのおよそ4分の3をガソリンなどの燃料事業が占めており、物販で稼ぐ175億ドルの内訳も4割がたばこ(その他ニコチン関連品含む)。食品が占める割合はわずか19億ドルと1割程度だ。

 セブン&アイが検討を始めるのはこれからだが、両社の店舗の商品構成や店舗方法の違いなどをどう判断するかがポイントとなりそうだ。

(冒頭写真はシカゴの「サークルK」店舗)