セブン&アイ・ホールディングスに買収を提案しているカナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールが、米国でもコンビニ買収を公表しM&Aへの積極姿勢を鮮明にしている。

 8月19日、米国のスーパーマーケット、ジャイアント・イーグルからゲットゴー・カフェ・プラス・マーケッツ(以下、ゲットゴー)を買収する最終合意に達したと発表した。

 ゲットゴーは従業員3500人で米ペンシルベニア州、オハイオ州、ウェストバージニア州、メリーランド州、インディアナ州に約270店舗のコンビニとガソリンスタンドを展開している。売り場の広い店舗からキオスク形態まで多様なモデルを持ち、注文を受けて提供する料理メニューを扱っている点が特徴だ。

 買収後もジャイアント・イーグルのロイヤリティープログラム「マイ・パークス」は継続される。アリマンタシォン・クシュタールのブライアン・ハナッシュCEO(最高経営責任者)は、「ゲットゴーが我々ファミリーに加わることを非常に喜んでいる。ゲットゴーの質の高い店舗と卓越したフードおよびロイヤリティープログラムに深い敬意を抱いている。同社の革新的なアプローチを学び、共に成長していきたい」としている。

 ジャイアント・イーグルのビル・アートマンCEOは「この取引でジャイアント・イーグルとゲットゴーの双方に大きな可能性がもたらされる。我々はスーパーマーケットと薬局事業に投資を集中できる。アリマンタシォン・クシュタールと、マイ・パークスのロイヤリティープログラムでの提携を楽しみにしている」と語っている。

 買収は規制当局の承認を得たうえで、2025年内に完了する予定。取引の財務条件は公表されていないが、アリマンタシォン・クシュタールは既存の信用枠を活用して資金を調達する計画だ。

 アリマンタシォン・クシュタールは31カ国・地域で事業を展開しており、「クシュタール」「サークルK」などのブランドで1万6700店以上のコンビニを運営している。このうち約1万3100店がガソリンを提供している。車社会の米国では、ガソリンスタンド併設型のコンビニが一般的だ。

セブン&アイへの買収提案も公表

 アリマンタシォン・クシュタールは米国では最大の独立系コンビニ運営会社の一つであり、カナダ、スカンジナビア諸国、バルト三国、ベルギー、アイルランドにおいてコンビニおよびガソリン販売でリーダー的存在。ルクセンブルク、ドイツ、オランダ、ポーランド、そして香港にも展開し、全世界で約14万9000人を雇用している。

 日本での報道を意識してかアリマンタシォンは同じ8月19日、「セブン&アイ・ホールディングスへの友好提案を確認」と題するリリースも公表。

 「最近、友好的で拘束力のない提案を提出した。両社の顧客、従業員、フランチャイズ加盟店、および株主に利益をもたらす相互に合意可能な取引の達成を目指している。現段階では、どんな合意や取引が成立するか不確実であり、セブン&アイとの協議について、合意に達するまでは追加の公表を行う予定はない」としている。