全国に4000店舗以上を展開する100円ショップのダイソーは、パート・アルバイトが中心となって店舗を運営している。パート店長でも、スキマバイトの活用をしやすくするためにどんな工夫を凝らしているのか。大創産業人事部採用課の田所康太氏とタイミーリテールグループの市川裕人氏に聞いた。

4000以上の店舗と九つの物流倉庫で活用

 ――昨年5月にコロナが5類に移行し、日常生活が復活しました。御社では、コロナ期間中とコロナ後で何か変化はあ りましたか。

 田所 コロナ禍では、外出がままならない中、ステイホームの需要が高まり、家で楽しむことができる商品の売れ行きが好調でした。お客様からも、「ダイソーには、いろんな商品があるので、外出できなくなった子ども達がダイソーの商品を使って自宅で楽しく過ごすことができた」といった声も寄せられました。また、コロナ期間中には3密回避から釣りが人気となりましたが、そうした時代のニーズを捉えた商品も一早く投入した結果、経済全体が低迷する中でも、当社は売り上げを伸ばすことができました。

 ――コロナ終息後はどうですか。

 田所 コロナ後は、コロナ前に多かった海外のお客様のご来店が再び増加し、インバウンド需要が盛り返しました。

 ――人手不足の状況はどうですか。

 田所 そこはまさに大きな課題で、店舗によってはかなり深刻な状況です。特にパート・アルバイトさんが足りない時は、人材派遣会社のサービスを利用しているので、その費用も大きな負担になっています。派遣費用の削減を狙い、タイミーさんのサービスの活用を決めました。

 ――実際に活用した感想はどうですか。

 田所 確実に人手が確保できることに驚きました。地域によっては、人材派遣でも難しいところがあるのですが、そうしたところでもタイミーさんなら人手が確保できるので、助かっています。

 ――どんな業務でタイミーワーカーを活用しているのですか。

 田所 店舗では、商品補充やレジ、新店舗を出店する際の商品の搬入がメインです。このほか、全国に9カ所ある物流拠点でも、ピッキングや仕分け、梱包などの業務に活用しています。

 ――利用頻度はどのくらいですか。

 田所 利用状況は店舗ごとに異なりますが、全国に4000店舗以上あるので、ほとんど毎日、どこかの店舗で利用しているという状況です。

左から、大創産業人事部採用課の田所康太氏、タイミーリテールグループの市川裕人氏
ダイソーでは、レジ業務や商品補充にタイミーワーカーを活用している

人材派遣コストを大きく削減

 ――タイミーを活用し始めたのはいつ頃ですか。

 田所 一昨年(22年)の9月ごろにサービス導入をご提案いただき、11月ごろから昨年1月末までテスト導入を行いました。その結果に基づき、全店導入に向けた準備を進めたため、本格的な活用を始めたのは昨年6月からです。

 ――全店導入のためにどんな準備をしたのですか。

 市川 ダイソーさんでは、どの店舗でも使えるようにするため、まず、労務上の確認やマニュアルなどを整備されました。

 田所 合わせて動画も用意しました。

 ――動画ですか。

 田所 当社では、パート・アルバイトさんだけで店舗を運営するケースも多くあります。そうしたスタッフさんや店長から、「マニュアルを読むだけでは手順がわかりにくい」といった声も寄せられたことから、タイミーさんの活用方法を説明する動画を作成しました。

パート・アルバイトだけで店舗を運営するケースも多いため、マニュアルや動画など、タイミーワーカー活用を支援するツールを充実させた

 ――そうしたツールがあれば、店長さんも助かります。ところで、パート店長にタイミーワーカーの募集を任せると、人数を多めに確保するといった懸念はありませんか。

 田所 その点については、店舗を管轄する部長の承認を得た上で募集する仕組みにしていますので、心配はありません。

 ――マニュアルを作る上でタイミーからも何かアドバイスをしたのですか。

 市川 特にアドバイスといったことはしていません。というのも、既にダイソーさんでは、初めてのワーカーさんでも働きやすい環境づくりをされていたからです。例えば、弊社の新人研修では、社員がタイミーワーカーとして取引先の企業様の店舗で働く機会を設けているのですが、ダイソーさんの場合、タイミーワーカーに対しても「タイミーさん」ではなく、個人の名前で呼び、名札まで作ってくださっている。そうした心遣いに、弊社社員も異口同音に「とても気持ちよく働けた」と言っています。

 ――タイミーワーカーからもそうした声はあるのですか。

 市川 ええ。例えば、ちょっと前に話題になったワーカーさんのSNSの投稿があります。「ずっと引きこもりだったけど、ダイソーで働くことで自分でも働けるという自信を持てた。タイミーでダイソーに出会えてよかった」といった内容です。

 ――それはとても嬉しい話ですね。

 田所 当社では、働き手との信頼関係が最も大事だと考えています。その観点から、「ワーカーさんと呼ばない」ということもマニュアルに入れていますし、また、「時間を守る」ということも盛り込んでいます。

 ――時間を守るというのは具体的に?

 田所 例えば、3時間の仕事ということで募集をしたら、延長したりせずにあらかじめ伝えた時間をきっちり守る。そうしたことを徹底するということです。

 ――「聞いていた話と違う」ということがないようにするということですね。

 田所 当社で働いてくださる方達は同時にお客様でもありますから、不信感を抱かれたらお店も利用していただけなくなってしまう。ですから、まずは誰もが安心して気持ちよく働ける環境を作ることを心がけています。

 ――タイミー活用の目的は、人材派遣費用の削減でした。実際、タイミーの導入により派遣費用は削減できているのですか。

 田所 もちろんです。具体的な金額は控えますが、効果は顕著に出ています。

 ――今後も人手不足の状況は変わらないと考えられます。タイミー活用で、今後新しい取り組みの計画などがあれば、教えてください。

 田所 すでに全店舗で、人手不足対策を人材派遣サービスからタイミーさんに切り替え始めています。今後は、何回か働かれている方を中心に、当社のパート・アルバイトさんになってもらえるよう働きかけ、タイミーさんから当社のスタッフになるというサイクルを作り上げていきたいと考えています。

 ――タイミーとしてはどのようなサポートをしていく予定ですか。 

 市川 人材派遣の料金が上がる中でも、タイミーは、コストを抑えながらも高い稼働率でかつ全国どこでもご利用いただけるという強みがあります。田所様がおっしゃったようにダイソーさんでも派遣費用の削減という点ではしっかり貢献できていると思っています。今後も、全国のダイソーさんの店舗で円滑に人材が確保できるよう、引き続きお手伝いしていきたいと思っています。

大創産業(ダイソー)
「世界中の人々の生活をワンプライスで豊かに変える〜感動価格、感動品質〜」を社是に掲げ、国内に4000店舗以上、海外に約1000店舗を展開する100円ショップのリーディングカンパニー。パート・アルバイトで店舗運営ができる仕組みを構築、店舗網のスピーディーな拡大を実現している。