スキマバイトを活用する場合、初めてのワーカーに仕事を任せることに不安を持つ企業は多い。その点、ドラッグストアのビー・アンド・ディー(B&D)は、タイミーの担当者と協力しながら、現場の不安解消のための施策を導入している。その具体的な取り組みについて、B&D事業本部人事担当の北浦千尋主任と小牧店の波多野和也店長、タイミー東海事業部カスタマーサクセスの石浜百華氏に聞いた。
夕方のアルバイト不足をタイミーで補完
――御社では、今年6月からタイミーを導入しています。
北浦 アルバイトの確保が課題になっていたところに、たまたまタイミーさんを紹介されたことがきっかけです。まずは試しに活用してみようと、売り上げ規模と面積の大きい2店舗に導入。その後、徐々に店舗数を増やし、現在では、全体で約70店舗のうち、半分強が活用しています。ちなみに小牧店は、最初に導入した店舗の一つです。
――小牧店の人手不足はどういう状況だったのでしょう。
波多野 午後5時までの固定シフトのパートさんは十分確保できていたのですが、5時以降のアルバイトが足りないという状況でした。
――そこにタイミーを組み込んでいるのですね。
波多野 月2回、シフトを組む際、まず既存のスタッフの希望を聞き、手薄になる日にタイミーで募集します。仕事は主に品出しとレジ業務で、このほか、新人アルバイトの研修時のレジ要員として募集することもあります。
北浦 当社では、まず品出し業務で募集し、店舗側がある程度利用に慣れたらレジ業務でも募集するのが一般的です。このほかに、新店オープン前のポイント会員募集や改装前などに在庫を減らすための売り尽くしセールなどでも、活用しています。
――実際に導入されてどうでしたか。
波多野 すぐに人材が確保できたことに驚きました。
石浜 求人を出してからマッチングまでの時間が短いのがB&Dさんの特徴ですね。小牧店さんだと、導入当初の6月の最短マッチング時間は約7分でしたが、今はさらに早くなって約2分になっています。
――どんな効果が出ていますか。
波多野 導入前は、店長の私も夕方レジに入ることが多く、接客もできない上に、6時ごろに届く商品の荷下ろしもできず、商品を放置したままという状況でした。今はそれがほとんどなくなり、レジに入る時間も月間で20時間は削減できていると思います。小牧店よりも面積が大きい店舗はさらに時間削減できているのではないでしょうか。また、タイミーワーカーさんがレジに入ってくれると他のパートさんも売り場に出て商品の案内ができるので、その面でも助かっています。
――ワーカーの特徴はありますか。
北浦 学生が多いかと思っていましたが、30代、40代の方が多く、とくに小牧店はその傾向が強いですね。社会人としての経験がある方は、細かく教えなくてもきちんとした接客ができるので助かります。
石浜 リピーターが多いこともB&Dさんの特徴ですね。このお店だけで12回という方もいますし、近隣の複数の店舗で働いている方もいらっしゃいます。中には、最寄りの店舗だけでなく、遠方の店舗に働きに行く方もいます。
――リピーターが多いのは働きやすいからでしょうね。募集に際し、店舗として心がけていることはありますか。
波多野 レジ業務は、経験者を募集していますが、それでも当店で初めて働く人には、ベテランのパートさんが最初の1時間、横にいて必要なサポートをしています。あとは、ちょっとしたことですが、「タイミーさん」ではなく、お名前で呼んでいます。
――それは嬉しいですね。
石浜 店舗に対するレビューを見ていると、「店長をはじめとする皆さんがとても親切だったから、久々のレジ勤務だったけれど、問題なく仕事ができてうれしかった」という声もあります。本当に店舗の皆さんのチームワークで働きやすい環境をつくられていることが大きいと思います。
マニュアルから募集原稿まできめ細やかなサポートを実施
――タイミーでは、どんなサポートをしているのでしょうか。
石浜 レジ業務を任せて大丈夫かという不安の声が多かったので、マニュアルを作成しました。お店でのレジ業務を拝見しながら、各種の支払方法からポイントカードの処理方法まで、実際の手順に沿った内容にまとめました。本部の方でも棚出しのマニュアルを作っていただき、お店ではそれらを活用しながら、業務を進めていただいています。
――それは働く人も、雇う側も助かります。
石浜 何か課題が生じた時、その原因を突き止めて、それが起きないような対策の提案も心がけています。例えば、募集したお店もワーカーさんもお互い初めてで、スムーズに業務が行えなかったケースがあった時は、問題の原因やその時の状況などをうかがい、北浦さんにも相談させていただきながら、ワーカー募集用の原稿を作り直しました。現場のオペレーションに課題がある場合は、受け入れ時に確認していただく項目を資料化して共有する、初めて募集する店舗では、タイミーの経験5回以上といった条件を付けて募集するなどのご提案をしています。
――課題解決だけでなく、問題の予防にも努めているのですね。
北浦 石浜さんは、本当に丁寧に各店舗のアカウントを確認して、課題があるとその対策をいろいろ提案してくださるので助かります。私も何か困ったことがあるとすぐに連絡して、些細な事も相談させていただいています。当社でうまくサービスを活用できているのは、各店長の努力はもちろんですが、石浜さんのきめ細やかなサポートがあるからこそだと思います。
――良好なコミュニケーションが取れていることが重要なのですね。ところで、タイミーワーカーからアルバイトになったケースもあるのですか。
北浦 あります。
石浜 実は10月からは、タイミーワーカーからアルバイト採用につなげる取り組みを始めています。全店の中でアルバイト採用に注力したい店舗を11店舗選定していただき、勤務し終えたタイミングでワーカーさんにはアンケートを行い、アルバイトスタッフに興味があるかを確認しています。興味があるというワーカーさんもいらっしゃるので、今後、各店舗さんで採用を進めていければと考えています。
――現在、全店の約半分でタイミーを利用中とのことですが、今後拡大の計画はありますか。
北浦 人手不足でお店がうまく回らなければ、お客様にご迷惑がかかります。タイミーさんを活用してお店が回せるのなら、積極的に導入していきたいと思っていますが、初めての人を使っての店舗運営は不安だという店長もいますね。
石浜 そうした方にも安心してご利用いただけるよう、私も精一杯お手伝いさせていただきたいと思います。
ビー・アンド・ディー(B&D)
愛知県内に約70店舗を展開するツルハグループのドラッグストア。医薬品や日用品はもちろん、食品から調剤までを取り扱い、地域住民の健康生活を支える