専門知識やスキルが求められる小売業の場合、スキマバイトの活用は難しいと考えられがちだ。しかし、スポーツ用品店「スポーツオーソリティ」を展開するメガスポーツでは、バイトマッチングサービスのタイミーを活用し、業務単位で募集することで、スキマバイトでもスキルを持った人材を確保している。その取り組みについてメガスポーツスポーツオーソリティ営業統括部の倉持晃特命マネジャーとタイミー事業推進一部カスタマーサクセスの古野沙月氏に聞いた。

短時間のスキマバイトでパート・アルバイトを補完

 ――御社は、スポーツ用品専門店を全国で100店舗以上展開しています。店舗の特徴はどういうものですか。

 倉持 スポーツ用品は、使う人の年齢や経験の度合いなどにより、適した商品が異なります。そのため、当社では、お客様のお話をしっかりと伺ったうえで、最適な商品をお勧めすることに力を入れています。こうした接客ができる点が当社の強みであり、差別化ポイントだと思っています。

 ――人流の回復に伴い、小売店頭にも賑わいが戻ってきました。それに伴い人手不足も再燃しています。

 倉持 確かにパート・アルバイトの採用が少し難しくなっています。今の時代、あらゆる業種で人手不足の状況で、人材の獲得競争になるため、簡単には採用できません。また、働きたいという意思はあるけれど、時間帯などの条件面で折り合いがつかず採用できないというケースもあります。

 ――長期のパート・アルバイトの補完に、タイミーのスキマバイトも活用しています。そのタイミー導入を決めたきっかけは何ですか。

 倉持 昨年、倉庫の商品の出し入れの作業をお願いしたのが最初です。この経験から、常時は必要ないけれど、催事などスポット的に人手が必要という時にスキマバイトが有効だということがわかったので、店舗でも導入を決めました。

 古野 倉庫での活用で、募集したらすぐに人材が集まる点を評価していただきました。店頭の販売員の不足も課題とのことでしたので、店舗での採用ツールをご提案したところ、今年7月に採用いただき、一気にご利用店舗が増えました。倉庫の活用では3事業所でしたが、現在では、50の事業所(倉庫と店舗)でご利用いただいています。

 ――店舗ではどんな業務でタイミーを活用しているのですか。

 倉持 レジ要員、あるいは夜間の人手が少ない時の補完要員としてなど、それぞれの店舗の状況に応じて活用しています。特にレジは、お客様が増える週末にタイミーワーカーさんに入ってもらうことで、既存のスタッフが接客に集中できるので、助かります。それから、例えば、パートさんが急に休まなければいけなくなった場合に、募集することもあります。あとは、催事やイベントですと、1日でものすごい数のお客様が来られるので、そうした際にも活用しています。

タイミーでは、レジ業務、後方業務など、業務を分けて募集することができるので経験者を集めやすい

業務単位・高頻度の募集がリピーター確保で奏功

メガスポーツ スポーツオーソリティ営業統括部 特命マネジャー 兼 東京・幕張エリアマネジャー 倉持晃氏(左)、タイミー 事業推進1部 カスタマーサクセス 古野沙月氏

 ――スキマバイトでも、必要な知識を持つ人材を確保できるのでしょうか。

 倉持 シューズ出しやレジ業務、後方業務、イベントなど、業務を切り分けたうえで、それぞれの経験者を募集しています。そうした条件を付けても、募集人員は、ほぼほぼ確保できています。

 古野 ワーカーさんのリピート率が40%と高い点も、スキルのあるワーカーさんを確保できる理由だと思います。

 ――高いリピート率を実現できている理由は、どこにあるのでしょう。

 倉持 スキルを持つワーカーさんをグルーピングして、先にその人たちを対象に募集をかけられる仕組みがあるからだと思います。

 古野 もう一つ、頻度よく募集されていることも大きいでしょう。ワーカーさんにとっても同じところでコンスタントに働けるのは魅力になります。

 倉持 倉庫だと10人、20人といった規模で募集するので、ワーカーさんの中でコミュニティができてきて、「明日も来る?」なんていう会話も交わされています。そういったところもリピートに繋がっている理由かもしれません。

 ――気ままに働いていそうなスポットワーカーでも職場でのコミュニケーションは大切にしているということですね。

 古野 社員さんがワーカーさんとコミュニケーションをしっかりとっておられることもリピーターが多い理由だと思います。ワーカーさんの場合、自分からここで働きたいとなかなか言えないことも多いので、社員の方から「また来てくださいね」と声掛けしてあげるのもリピーター確保につながるのではないでしょうか。

 倉持 弊社は、接客をウリにしているところもあって、フレンドリーでお客様との距離感を縮めるのが得意なスタッフが多いので、それがワーカーさんとの間でも生かされているのかもしれないですね。リピーターの方が多いと、仕事内容もわかっているし、ワーカーさん同士も顔を知っているので、すぐ連携ができ、スムーズに仕事を進められます。その結果、催事などは投入する社員の数を従来より減らして運営できることから、社員の負担軽減にもつながっています。

 ――御社は全国で店舗展開をしていますが、都市部だけでなく、地方でもこの方法で人員が確保できているのですか。

 倉持 私が知る限り、エリアによって大きな差があるということはないと思いますよ。むしろ地方では、通常の求人媒体に広告を出してもなかなか人が集まらない場合も多いのですが、タイミーさんなら短期でマッチングする。1年働ける人を確保するのは難しくても、今働きたいという需要はあるようです。

 ――働く時間の単位を小さくすることで、潜在労働力を掘り起こせるということですね。ほかに、どんな点を評価していますか。

 倉持 先ほども言いましたが、業務で括って募集ができるところは本当に助かります。あと、また働いてほしい方にまとめて募集をかけられるのも頼りにできるところです。募集のサイトも使いやすい仕様で、見本の文面もあるので、詳しく説明しなくても、各事業所がすぐに使うことができる点も助かります。時給変更でも、繁忙期で採用が難しくなる時期はちょっと上げたりといったことがサイト上で簡単にできるので便利ですね。

 ――サポート面ではどうですか。

 倉持 窓口となる古野さんがとにかく話しやすくて、こまめに連絡もいただける。定期的に状況を確認して、こちらから聞かなくても提案をしてくれるので、情報交換もしやすい。しかも、本部だけでなく、店舗にも出向いて、ワーカーさんが働いている状況を見たうえでの提案なので、ありがたいですね。

 ――年末年始の繁忙期に向けて、どのように労働力を確保されていく計画ですか。

 倉持 年末年始はとくに人手が必要になる時期です。タイミーさんのお力を借りながら、適時適切に人員を投入していきたいですね。

メガスポーツ

 大型店「スポーツオーソリティ」を中心に全国に展開するスポーツ用品チェーン。チーム競技から個人で楽しむ運動まで幅広くカバー。小売業の他に商品開発やフットサル場の運営、デジタル事業も手掛ける。