日本パレットレンタル(JPR)は、3月2日、「JPRセミナー2023」をオンラインで開催した。トラックドライバーの残業の上限を定めることで人手不足から物流が滞るとする「2024年問題」を中心に物流業界が抱える課題への対策の提案を行った。

 セミナーは、東京女子大学現代教養学部の二村真理子教授の講演からスタート。二村教授は、「環境負荷軽減と制約下での物流活動」をテーマに、物流活動による環境負荷の現状と展望について解説。地球温暖化の主要因であるCO₂削減は、これまで国単位での取り組みが中心だったが、国を越えたサプライチェーン単位での削減にシフトしつつあると指摘し、そこへの対応を求めた。

 続いて、物流や流通業界の情報を取り扱う三つのメディア「カーゴニュース」「LOGISTICS TODAY」「激流」の編集長が登場。「メディアが見る2023年度物流HOTトピックス」として、各編集長はともに2024年問題への対応を挙げ、荷主や元受けの意識改革と早急な対応の必要性を強調した。

 最後は、JPRの加納尚美社長が「2024年問題のその先へ」と題して講演。加納社長は、2024年問題に限らずドライバー不足は長期的な問題と指摘し、物流改革の必要性を説いた。その対応策としてパレット化の推進を挙げ、これにより荷役・荷待ち時間を4分の1に削減することができ、長時間労働の解消にもつなげられる点を強調。国内の物流倉庫で利用されている5億枚のパレットを輸送でも利用するパレットのオープンシェアリングを提唱し、そのツールとして「X-rental オープンプラットフォーム」を紹介した。さらに、オープンシェアリングに活用できるサービスとして昨年提供を開始した納品伝票を電子化・共有化するサービス「epal DD Plus」にも言及。この利用により伝票の発行、仕分け、探す手間を省くとともに、JPRのレンタルパレットサービスと連携することで、JPRパレットの受け払い業務がワンストップで完結すると説明した。加納社長は、国が進めるフィジカルインターネットの実現には、パレット、データ、外装の標準化と共有化が重要になると強調。個別最適化で他国の先を行く日本での全体最適の実現に向けた取り組みに意欲を示した。

(トップ画面は、パレット物流の促進で物流の効率化を目指すと発表する加納尚美JPR社長)