7年連続で売り上げ過去最高記録を更新

 日清食品の和風麺のトップブランド「日清のどん兵衛」シリーズが7年連続で過去最高売り上げを記録した。発売45周年を迎えた昨年は年間を通じて多くの企画を打ち出し、売り上げをさらに押し上げた形だ。

 45周年企画商品では、「どん兵衛」と同じく45周年を迎えた焼そば「日清焼そばU.F.O.」シリーズと初めて年間を通じたコラボキャンペーンを実施。「入れ替えて作ったらうまかった件」と題して「日清の汁なしどん兵衛 濃い濃い濃い濃厚ソース焼うどん」と「日清焼そばU.F.O.だし 醤油きつね焼そば」の特別コラボ商品を昨年5月に発売。このほか、人気アニメ「鬼滅の刃」コラボ限定パッケージ商品を発売したことも売り上げ拡大に寄与した。

 さらに昨年9月には、「日清のどん兵衛」シリーズの主力商品「きつねうどん」と「天ぷらそば」のだしを約10年ぶりにリニューアル。岐阜県の関ヶ原を境に東日本と西日本で分かれている味をよりおいしいものへと改良した。西日本向け商品では、本鰹と昆布のだしが上品に調和した特徴を維持しつつ、本鰹の豊かな風味と昆布の後引く旨味を増した味わいの淡い色のつゆに刷新。「天ぷらそば」の東日本向け商品では、これまでの本鰹のだしに力強い宗田鰹のだしを合わせることで、コクと旨味が増した味わい深い、色の濃いつゆに仕上げた。また昨年11月には東西のだしの違いを比べられる「日清のどん兵衛 だし比べ」4商品を期間限定で発売。東西両地域で普段食べられない味を楽しめるようにしたことが好評を博した。

麺やだしなどこだわり抜いた「最強どん兵衛」

 そして今年は「日清のどん兵衛」シリーズをさらに育成するため、プレミアム商品にも力を入れている。今年3月、〝和風カップ麺最高峰〟となる「日清の最強どん兵衛 きつねうどん」(冒頭写真左)と「同 かき揚げそば」(同右)を発売。「きつねうどん」は通常のどん兵衛よりも太く、〝もちもち感〟を高めた極太うどんと、鰹節、昆布、サバ、煮干し、干し椎茸、あごの6種の合わせだしに昆布の後引く旨みのつゆのほか、自社工場で製造した厚みが通常品よりもぶ厚くふっくらしたお揚げを使用。さらに長野県の老舗「八幡屋礒五郎」で調合した「特製ゆず七味唐辛子」を添えている。

「かき揚げそば」は通常のどん兵衛よりも太く、弾力と歯ごたえのある新太そばや、きつねうどんで使われている6種の合わせだしを使用した鰹節としょう油の華やぐ香りのつゆも使用。かき揚げは同社が特許を取得している独自技術で調理し、通常品よりもぶ厚く、玉ねぎの甘みが感じられるかき揚げを実現した。東京・浅草の老舗「やげん堀」で調合した「特製七味唐辛子」を使用するなど、どちらもこだわり抜いた商品に仕上げている。プロモーションでは、「最強どんぎつね」に歌手の美輪明宏さんを起用したテレビCMを放映し、プレミアム感を訴求してきた。

 日清食品がプレミアムライン「最強どん兵衛」を発売した背景には、コロナ下の社会構造の変化がある。自分らしいライフスタイルを追求し、おうち時間を楽しむために消費する「プチ贅沢志向」を持つ人が約2300万人いると想定されていることから、「プチ贅沢志向」の人をターゲットに付加価値の高い「最強どん兵衛」を発売することで、「幸福感を味わってもらいたいと考えた」とマーケティング部第2グループの木所敬雄ブランドマネージャーは明かす。これまでの定番品と価格志向に対応した商品に加えて、今回の高価格商品をラインアップする「3軸マーケティング」を展開。これまで取り切れなかった需要を獲得し、「どん兵衛」ブランドの価値向上を図る構え。

「最強どん兵衛」は希望小売価格が248円と高めだが、事前の調査では「プレミアム感」が評価され、大半の回答者が喫食したいという意向を表明。3月の発売以降好調に推移し、4、5月のPOS実績は、販売好調な「カップヌードルPro高たんぱく&低糖質」シリーズに匹敵し、計画比2倍を記録している。

日清食品は、需要の高まる年末に向けて「最強どん兵衛」の販売をさらに強化する。定番の「きつねうどん」と「天ぷらそば」も9月以降店頭に並ぶ商品パッケージをリニューアルし、「旨いから売上№1」と明示してブランド力の高さを訴求していく。プロモーションについて、木所ブランドマネージャーは「皆さんが驚くようなものを準備しているので、ぜひご期待いただきたい」と自信のほどを示す。

パッケージをリニューアルした「日清のどん兵衛」シリーズの主力商品「きつねうどん」と「天ぷらそば」
※いずれも東日本向け商品 

日清食品が見据えるのは「100年ブランド」の構築だ。「どん兵衛」ブランドが長く愛されるためにも、和風カップ麺売り上げ№1を独走し、8年連続の過去最高記録更新を狙う考えだ。