時代の変化に合わせた取り組みでZ世代のニーズを取り込む
日清食品が1971年に発売した世界初のカップ麺「カップヌードル」が今年9月に50周年を迎える。100年ブランドを目指し、50年先の〝未来〟を見据え、進化を続けている。マーケティング部第1グループの白澤勉ブランドマネージャーは、「時代に合わせて若者の心を掴むプロモーション活動や取り組みを続け、各世代に愛される『インスタントラーメンNO.1ブランド』として強く支持されています。2000年以降は、環境対策やニーズの細分化に対応した取り組みを推進してきました」と力を込める。
「カップヌードル」は同社創業者の安藤百福氏が米国視察の際に、現地スーパーの担当者が「チキンラーメン」を小さく割って紙コップに入れ、お湯をかけてフォークで食べだしたことに着想を得て、試行錯誤を重ねて開発された。発売当時、市場になかったカップ麺の販売に苦労したが、諦めずに販路を広げたことで「カップヌードル」は世の中に浸透した。「カップヌードル」は国内だけでなく、海外でも広く浸透している。フレーバーも徐々に広がり、定番の八つのフレーバーを「八福神」〈カップヌードル、シーフード、カレー、チリトマト、欧風チーズカレー、しお、味噌、旨辛豚骨〉として現在展開中だ。
今回は50周年を機に「カップヌードル 辛麺」を8月30日に発売。激辛ブームの中で、「カップヌードル」として辛いだけでなく、しっかりおいしい、幅広い人が楽しめる新たな辛さの価値を提案する。
さらに「カップヌードル」を幅広い人に親しめる施策としてコラボレーション企画を各企業と実施。10代、20代の女性から圧倒的な支持を得る衣料品「MILKFED.」(ミルクフェド)では「カップヌードル」をモチーフにしたデザイン商品を5月から展開。可愛いキャップやTシャツなどで若年女性のイメージアップを図った。
食品では、「八福神」のフレーバーに合わせ、やおきんが販売する人気のロングセラー菓子「うまい棒」のカップヌードル味8種の販促品を展開。「カップヌードル」ならではのユニークな企画を打ち出す。日用品では小林製薬と「カップヌードル 残ったスープ固めるパウダー」を共同開発。残ったスープにパウダーを入れて混ぜるだけでスープが固まり、「カップヌードル」のスープを捨てる場所の課題解決を図った。
フタやカップを切り替え廃プラスチック対策を進める
また同社は「カップヌードル」を通じて、「環境」「防災」「健康」「社会」「食の安全・安心」などのあらゆる課題解決に向けた「カップヌードル DO IT NOW!」プロジェクトを19年に始動した。「環境」では、容器を08年から再生可能資源である紙を主原料に使用した「ECOカップ」に変更。さらに進化させ、石化由来プラスチックを従来比で約半分削減し、バイオマス度を81%に引き上げた環境配慮型容器「バイオマス ECO カップ」に19年から順次切り替えてきた。今年度中にすべての「カップヌードル」の容器が切り替わる予定だ。50年目の取り組みでは、近年、注目が集まる廃プラスチック対策としてプラスチック製の「フタ止めシール」を今年6月に廃止。シールがなくても空きにくくなるようにタブを二つに増やした新形状のフタ「Wタブ」に順次切り替えている。
同プロジェクトの一環となる「食の安全・安心」では、「カップヌードル」の品質と安全性に関する情報を発信。50周年を機にウェブサイト「カップヌードルの裏側」を今年2月に開設し、同サイトにアクセスするQRコードをフタに印刷した「カップヌードル」を販売。サイト内では原材料や容器について解説する「中身のギモン」、工場での製造工程や品質管理について解説する「工場のギモン」、栄養バランスの良い食べ合わせを提案する「栄養のギモン」など「カップヌードル」の 〝裏側〟を元気に走り回るオリジナルキャラクターとともに楽しく紹介。「最も優先している安全管理・品質管理など食の安全・安心の取り組みの発信を続けていきます」(白澤ブランドマネージャー)。
「カップヌードル」は50年間、時代の変化に合わせて、基本は変えずに進化を続けて幅広い世代の消費者から厚い支持を得てきた。白澤ブランドマネージャーは、「特に変化の速い10代、20代のZ世代の若者のニーズに対応したフレーバー展開や一歩先の取り組みを推進。世の中を変えていく若年世代の支持をさらに獲得していきたい」と意気込みを語った。