2000社・団体、3000小間を超える企業が出展を予定
全国スーパーマーケット協会は、「第57回スーパーマーケット・トレードショー(SMTS)2023」を来年2月15〜17日の3日間、千葉市の幕張メッセ全館で開催する。
SMTSはスーパーマーケットにかかわる業種が集まるBtoBの商談展示会だ。食品・日用品メーカーから卸、店舗設備・資材関連、店舗開発、情報サービス関連企業、さらに官公庁や地方自治体などが出展。小売業を中心としたバイヤーとの商談だけでなく、大手メーカーの新商品や地域産品、業界のトレンド情報の収集もできる場として長年多くの業界関係者に支持されてきた。
前回のSMTS2022では、感染防止策を徹底し、リアルでの商談展示会に加え、オンラインを活用した個別商談会やセミナーも実施した。来場者からは、「展示会の質が高かった」「ゆっくり落ち着いて商談ができた」と、特にリアルの良さを評価する声が多く寄せられたという。こうした声に加え、行動規制のない状況やワクチンの複数回接種が幅広い年代に浸透していることから、今回もリアルでの商談の良さを評価する声が多く寄せられたという。
こうした声に加え、行動規制のない状況やワクチンの複数回接種が幅広い年代に浸透していることから、今回もリアルでの商談展示会の開催を決定。出展予定者数は1912社・団体、3264小間(2022年11月1日現在)と、前回に比べて約2割増える見通しだ。協会事業部展示会課の吉沢敦主任は、「改めて出展者の皆様のSMTSへの期待の大きさを感じている」と気持ちを引き締めている。
来場者数は前回以上を目指すと同時に、感染対策も引き続き徹底。会場内では業界のガイドラインで規定された以上の通路幅を確保しつつ、展示スペースも広げた。また展示ブースの中が密にならないよう、ブース内の出展者人数の制限も引き続き行う予定だ。
「食のトレンドゾーン」に冷凍をテーマにした「冷凍×食」を新設
今回も前回同様、「第57回SMTS2023」を中核として、同じく全国スーパーマーケット協会主催の「デリカテッセン・トレードショー(DTS)2023」、食品産業センター主催の「第18回こだわり食品フェア2023」が同時開催となる。
会場は幕張メッセの全館を使用。1〜8ホールではSMTSの「生鮮」「加工食品」「菓子・スイーツ」「飲料・酒類」「店舗開発・販促」「設備・資材」「食のトレンドゾーン」の各ゾーンとDTSを設置。9〜11ホールではSMTSの「地方・地域産品」ゾーンとこだわり食品フェアで地域の豊かな食を打ち出す。
中でも今回注目の主催者企画が「食のトレンドゾーン」に新設した、冷凍食品関連企業を集積した「冷凍×食」ゾーンだ。単身世帯の増加や、コロナ禍でのライフスタイルの変化を機に需要拡大が続く冷凍食品にフォーカス。時短・簡便につながる冷凍惣菜・調理冷凍食品・冷凍ミールキットをはじめ、青果、畜産、水産などの冷凍素材、冷凍食品用の設備機器・容器などを紹介する。
出展者には大阪王将の餃子で知られるイートアンドフーズや、マルハニチロ、双日食料、カット野菜のニチノウ、OSMICなどのメーカーをはじめ、店舗販売も外販も両方手掛ける成城石井、エムアイフードスタイル(クイーンズ伊勢丹)、液体急速凍結機「凍眠」のテクニカン、食品容器の中央化学などが出展する。会期中はセミナーも企画しており、SMTSならではの展示となりそうだ。
また前回に続き、「美と健康」と「サステナビリティ(持続可能性)」の2つのゾーンも設ける。「美と健康×食」では美しく健康的な心と体づくりに役立つ商品として、ダイエットにつながる糖質やカロリーオフ商品、美容やアンチエイジングなどの企業が出展予定。「サステナビリティ×食」では、関心が高まるプラントベースの代替肉、ベジタリアン・ヴィーガン・ハラール系、有機食品のほか、食品ロス削減やアップサイクルなど環境に配慮した商品などを展示予定。主催者としてもSDGsへの取り組みに注力する。会場ではバイオマス発電によるグリーン電力を使用。配布する資料の電子化、環境配慮素材を使用した印刷物の活用などを推進する。吉沢主任は「環境への影響が大きい大規模な展示会だからこそ取り組みを強化したい」と力を込める。
主催者企画では造り手の技や思いが込められた国産酒類を提案する「てづくりNIPPON」を今回も展開し、日本酒、焼酎、クラフトビール、国産ワイン、果実酒、スピリッツなどを製造・販売する46社が出展。またSDGsに関連し、アップサイクルの取り組みによる商品の陳列、コンシェルジュの設置なども行われる。業界関係者への情報発信では、オンラインも積極的に活用。東京商工会議所との共催で行っているビジネスマッチング企画では1対1の商談機会を提供。リアルとオンラインを併用し、前回実績を上回る300以上の商談を目指す考え。
ジェトロ(日本貿易振興機構)主催のオンライン商談会については、会期中にタブレットを持ったスタッフが出展者ブースに出向き、オンライン上で海外のバイヤーとタブレット越しに商談する「視察型オンライン商談会」を実施する。様々なスピーカーが登場するセミナーは、今回もオンラインで実施。事前に収録した横山清会長による「SMTSスピークス」などのコンテンツを会期中に配信(アーカイブあり)する。「前回以上に充実した内容となる」と吉沢主任は自信を見せる。
さらに、流通業やサプライチェーンが抱える課題の解決策を提案する、経済産業省主催の「スーパーDXコンテスト」の優秀賞受賞者表彰式やプレゼンテーションのほか、食品流通業に有益なセミナーを多数実施する予定だ。
お弁当・お惣菜大賞に11部門の商品が集結
中食産業に特化した商談展示会「DTS2023」では、デリカに関する企業・団体のブース出展、恒例企画の「お弁当・お惣菜大賞2023」の表彰式や受賞商品のブース展示を行うほか、一部商品を会場内で購入し、実際に食べられるスペースを設置する。お弁当・お惣菜大賞は、全11部門にスーパーマーケットや専門店からエントリーが寄せられ、入選した商品の中から最優秀賞、優秀賞、特別賞を選出するもの。
今回の「定番商品部門」は「巻き寿司」に焦点を当て優れた商品を選出。また前回の定番商品部門のテーマに採用された「タイ・ベトナム料理(アジアン料理)」は、エスニック料理全般への関心の高さを受けて「各国料理」としてエントリー部門に新設。対象料理をシンガポール、インドネシア、マレーシア料理にも拡大している。
このほか、今回のエントリー商品の特徴としては、原材料価格が安定している肉を使った肉寿司や野菜が多い韓国料理のキンパ、大豆ミートを使った商品なども増えているという。
さらに、会場内ではスチームコンベクションオーブンで調理したピザの「食べくらべ体験STAND」企画を実施する。ニーズの高まるピザについて、スチコンを使った簡単便利な調理方法で生産性を高めるとともに、味の良さを知ってもらう企画だ。大賞受賞商品の紹介や業界トレンドなどを網羅した「惣菜デリ最前線2023」を無料で配布するほか、連動企画として年間を通じてデリカに関する勉強会「デリカスタディ」も開催。今年は5月、7月、10月にすでに実施済みで、お弁当・お惣菜大賞受賞の秘訣などを学べることも受講者から好評で、来年1月にも開催を予定している。
このほか、展示会をフォローする機能として、ポータルサイト「リテールトレンド」内で、SMTS、DTS、こだわり食品フェアの出展企業の商品を確認できる。
昨年までスーパーマーケットには追い風が吹いていたが、1転して厳しい競争環境に突入している。市場で選ばれるスーパーマーケットになるべく、より一層の差別化や独自商品が求められている中で、SMTS・DTSは競争力向上につなげる場としても大いに活用できそうだ。