変化に対応した構造改革急ぐ
OKI(沖電気工業)は4月1日付で新たな経営体制に移行した。新社長に森孝廣執行役員が就任。新たに設ける最高執行責任者(COO)を兼務し、6月下旬の株主総会後には代表取締役にも就く。鎌上信也社長は代表権のある会長に就き、最高経営責任者(CEO)を兼ねる。コロナ禍がもたらした変化の加速も踏まえ、意思決定の迅速化と経営力の強化を図るのが目的だ。
森氏は1988年入社。プリンター部門を長く歩み、20年にはプリンター子会社の沖データ(現在はOKIに統合)社長に就いた。また社外との連携・協業を進める「ビジネスコラボレーション推進本部」のトップを務め、リコーとのプリンター基幹部品の共通化などを実現させた。
会見にて森氏は、「まず売上高のトップラインを伸ばすことが私の使命と捉えている。現状の課題は大きく三つあり、一つ目は成長市場に向けた独自技術の開発、二つ目はグローバル拠点の機能強化、三つ目はマーケター育成だ。社員の士気や積極性を高めることが重要と考えている。自由闊達な企業風土を作り臨みたい」と意気込みを語った。
OKIは現在、22年度を最終年度とする3カ年中期経営計画にて、モノづくりを強みに持続的成長を実現するための土台づくりを進めている。その一環として昨年4月、プリンター事業については本社に統合。開発リソースのシフトによる商品開発力強化、販売・生産拠点のグループ活用などで、市場環境の変化に対応した構造改革に取り組んでいる。
2月24日にはプリンター事業から新商品を発売した。帳票対応能力を強化した「COREFIDO(コアフィード) B822dn/B842dn/B842dnt」がそれだ。新たな機能として、トレイごとの印刷位置補正、用紙サイズぎりぎりまでの印刷範囲拡大などに対応。また、消耗品交換や紙詰まり除去といったほとんどのメンテナンス作業を前面から行える構造により、メンテナンススペースを従来機種比49%削減した。同製品は官庁・自治体や医療、金融業界向けに年間1万5000台の販売を計画している。
今後もOKIは持続的成長に向けた構造改革を推進。モノづくりを通して現場が抱える課題の解決に貢献していく。